第7話稀代の天才兵学者

東京上野公園の片隅に、墓がある。

そこには、ただ、「戦死之墓」とある。

ここは、寛永寺があり、彰義隊隊士が立てこもった場所である。


戊辰戦争の時に、薩摩・長州連合を指揮して倒幕に力を注いだ人がいた。


その人は、兵学者・大村益次郎。

彰義隊隊士の墓を参拝する!と、言ったが新政府軍に楯突いた朝敵である彰義隊の墓を参拝するのは辞めて欲しいと言う周囲の言葉に対して、「自分一人でも行く」と聴かず周囲を困らせた逸話がある。


大村益次郎は、国軍創設の責任者に抜擢され徴兵制を訴え、近代国家の軍隊を作ろうとした。

身分に関係なく、昔の枠組みに囚われない軍隊の創設。


「薩長、目今もっこん強しと言えども薩長の兵制に従うものなし。肥前土州の兵制詳しと言えども、目今肥土の兵制に頼るものなし」

と、改革を進めて行く。


しかし、大村は武士から刀を取り上げる者として、命を狙う者たちがいた。

明治2年9月4日6時頃、大村は刺客に斬りつけられ深手を負う。

それが元で、12月7日亡くなる。享年45。


今、靖国神社に銅像がある。

東京招魂社の建設に力を入れた人だから、そこに建てられた。


稀代の天才兵学者・大村益次郎。

彼の描いた近代国家に今の日本はなったのであろうか?


彼は、こんな言葉を残した。

「常識を発達させよ。見聞を広くしなければならない。小さな考えでは世に立てぬ」

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