第26話 罪悪感
あゆむは着々と
他の惑星の種族を探し出し
タグをつけて消していた
本来の人類にピンポン玉を付ける作業は
あゆむには人工の人類を見分けられないので
一旦タグを付けるのをやめていた
夜子の方は
相変わらず2から増えてないようだ
夜子とは何でも話せるくらい
近くなったつもりだが
流石にこの非現実的なゲームの話はして来ない
夜子はまだ協力者が居ることに
気がついていないのだろう
僕は今日もいつものように
仕事が終わり街中を歩いた
シューティングゲームをするように
他の惑星の種族を消すことに慣れた僕は
実験をする事にした
そこにその人が居なければ成り立たない場合
その人が消えた後はどうなるんだろう
バスを運転中の運転手だったり
野球で打席に立っていたり
サッカーでキーパーをしていたり
そんな瞬間に消した場合は
どうなるんだろう
丁度そんな疑問を持っていた時
大きな荷物を2人で運んでいる
作業員が目に入り
片方が他の惑星の種族だった
僕は少し緊張しながらタグを貼ってみた
一瞬で消えて
次の瞬間、全く違う人がそこに現れ
何事も無かったように荷物を運んだ
どんな状況でも消して
問題ない仕組みになっているのか
と、僕はホッとした
消した後、残された家族はどうしてるんだろう
最初から居なかった事になり
その家の思い出の品や写真もすり替わるのだろうか
母の店で見た伝票の3名様の文字も
後で確認したら数字が変化していた
物理的には問題無さそうだけど
例えばその人を愛してた人の
気持ちはどうなったんだろう
全く違う人を愛していた事にされるのだろうか
全て忘れてしまうのだろうか
残酷だな…と思うと
僕は空を見上げてため息をついた
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