第24話 菜々の事

店が終わると葉月夜子と一緒に帰る事が

当たり前になって来た頃

僕たちはすっかり打ち解けていた


2度目に帰った時に

葉月夜子は

「菜々と幼馴染なんでしょ?」

と、聞いてきた


僕はありのままを話した


お互い特別な存在ではあるが

一般的な恋人のような関係では無い事


「そんなの変、私とは正反対だね」

夜子は顔をしかめて言った


それから葉月夜子は

高校の時に

菜々の隣で優越感と劣等感を感じていた事

菜々の隣に居るのが苦痛になった事

菜々にも話せなかった出来事を話し


「私って本当にどうしようもないね」

と、言った


糸が切れたように

菜々への感情を吐き出した夜子は

何かふっきれたような様子で


「私たちは菜々に翻弄された同士だね」

と笑っていた


劣等感や醜い感情を感じながら

菜々の側に居ようとした夜子


清く美しい関係を望み

菜々の遠くに居た僕


僕は夜子のようには生きられないし

夜子も僕のようには生きられない


素直に生きて傷だらけになった夜子を

僕は愛しく思った

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