第19話 望まない再会
水無月歩夢は
カウンターで灰皿とグラスを洗いながら
考えていた
しまった、葉月夜子が来ていた
なるべく関わらないようにしたかったが
この様子だと
母と増々、仲が良くなってるのだろう
なんとかしないとな…
チラっと葉月夜子を見ると
何か様子がおかしい
隠れるように小さくなって
何か顔色が悪いような
奥のテーブル席を気にしてる…?
目をやると
3人のサラリーマンが陽気に飲んでいる
葉月夜子の客か、知り合いなのかな
…今は見つかりたくないのかもな
僕はそう結論付けた所で
狭い町だからそんな事もあるだろう
どうしてあげることもできないけど
と、思った矢先に
夜子は縮めた身体をゆっくりと伸ばし
奥のテーブル席を見た
何だ?とテーブル席に目をやると
1人…居ない…
僕は驚いて固まってしまった
唖然としたまま
夜子に目を向けると
ホッとした様子でジュースを飲んでいた
目の前の出来事に頭が真っ白になり
僕は暫くフリーズした
夜子がそそくさとトイレに向かったので
僕はゆっくりとグラスを洗い始め
目を閉じてタグをイメージした
人工の人類…2
心臓がドクンと鳴る
洗っていたグラスを乱雑に置いて
カウンターの端に行き
濡れた手で伝票を漁った
テーブル席 3名
葉月夜子はゲームのプレイヤーだ
僕はまだ真っ白の頭で
取り敢えずまたグラスを洗い始めた
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