第5話 違和感

水無月歩夢は静かに目を開け

そのまま天井を見つめた


夢なのか

やけに鮮明な夢だった


しばらく目を閉じ記憶を整理する

10分ほどして起き上がり

あゆむは日常の世界に戻った


いつもの様に仕事をしながら

あゆむは夢の出来事を思い出していた


グリーと名乗ったマシュマロマン

カテゴライズ

タグ

僕は選ばれた

クリア

整理された内容を1つずつ分析する


いつもなら夢なんて何かしていたら

さっぱり忘れてしまうのに

記憶に鮮明にある


夢じゃないのかもしれない


その日の仕事が終わると

あゆむは街の中を歩いた


人通りの多い場所を選び

あゆむは立ち止まり壁にもたれ

人々を眺めた


週末で賑わいを増してゆく街の中心部には

学校帰りの学生達や

これから遊ぶ大人達が集まっていた


「違和感…」


あゆむは昨日の

白いワンピースの女性を思い出していた


今まで生きていて

あんな感覚は初めてだったのに

突然選ばれたと言われても…


あゆむは流れて行く人々をじーっと見て

うーんと首を傾げて

母の店に向かった


ドアを開けると

カウンターでせっせと働く母が

チラッとこちらを見た

「あら来てくれた」


僕はカウンターに座り

無造作に置かれたカゴの中から

おしぼりの束をひょいと持ち上げ

慣れた手つきで

おしぼりをクルクルと巻き直す


結局、何も起こらなかったな

あゆむはやっと肩の力を抜いた


「まあ気のせいって事で…」


「えー?何ー?」

呑気な母の雑な相槌で

僕はふっと笑った


準備が整い

狭い店の中は薄暗くなりBGMが響き渡る

程なくその日1人目の客が現れた


違和感だ

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