第3話 水無月歩夢

18歳の水無月歩夢は

賑わう街の中を歩いていた


高校を卒業したあゆむは

母のつてで

宝石をデザインする仕事につき

見習いをしていた

所謂カバン持ちだ


社長は宝石やブランド品を

お金を持て余すマダム達の家に

訪問して売るスタイルの宝石屋だ


昼間はカバン持ちをしながら

デザインの勉強をして

夜は母の店を手伝ったり

社長の接待のお供をしたり

多忙な毎日だった


その日は昼間に時間が空いたので

賑わう街中で時間を潰していた


美容専門学校の前で足を止め少し見上げる

ここに僕の1番大切な人が通っている

文月菜々


小学生からの僕の大切な人だ

僕たちは恋人では無いけれど

誰よりも深く繋がっている


付き合ったり頻繁に会ったりする

近い関係では無いが

僕はずっと菜々の為に生きている


専門学校を通り過ぎて

僕はカフェに入った


ボックスランチセットをテイクアウトで

近くの公園で食べる事にした


平日の昼下がり

犬の散歩をする奥様と

ベビーカーを押す夫婦とすれ違い

僕はベンチに腰掛けた


時々空を見上げたりしながら

謎の味のそぼろのかかったご飯とレタスを

頬張ってモグモグと食べた


食べ終わる頃

上品そうな白いワンピースを着た女性が

目の前を通り過ぎた


僕はその女性を見た1秒後

違和感を感じ目を逸らした

何かが気になる、でも何なのか分からない


この世の人では無いような

不思議な違和感


僕は怖いもの見たさで

その女性が見えなくなるまで

チラチラと何度も見ていた

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