ごうと、ぎょう
妙な行列があった。どこへ向かうかわからなく、しかし長く頭が連なっている。最後尾も、先頭もならない一列は、果てで夕暮れへ呑まれていく。挟まっている無数の方々に相談をすれば、あの彼方で選んでくれる蟻があって蜂のいる。だから向かいつつ待っている。そういう言い分があった。
必ず行けるとも限らない。そういう人もあって、証明よにその背後で、人は壊れて動かなくなった。もちろん列から持ちだされ、はみ出て、路肩で枯らされた。
すこし手繰ると、列の中途で一軒家があった。列は一軒家を突っ切って憚りない。よく観察が進めば、一軒家の足もとはタイヤで、列の緩やかな経過に合わせて鈍間も動く。どうやら待ちくたびれて生活を持ち込んだらしい。蝸牛よな神経である。
列は道へ添うゆえ蛇行とてしている。なんだか寂しい仮眠を取る人がうずくまっていて、放り出され、あとで泣いている。しょうがない、これだけ永らく緊張していなければいけない。だって、渋滞なんだ。だれでも眠たいさ。泣いてこう愚痴であった。嘆きに、列では見慣れた人たちか、情けなく塞がった心でなかったことにしていた。
なんで並んでいるのか。ある行列のひとり曰く、いわゆる惜しさに捕まったのだ。もう目的も、訳も蒸発し、しかしここまでかけた時間だけが残り身体を染みたれて縛ってくる。ただ減っていくことは惜しいものだ。残念だが、囚われたんだ。果てがなくとも、地球に輪をかけて元の場まで戻るだけでも、皆ここを退けない。
同じ人へ蟻があって、蜂のいる。という意見についてどうか聞いてみる。
それは深みで宗教臭くなった輩の妄言だ。捨て置け、ここは下らない情熱を吹きだめた長い迷路。そう糸をわけなく垂らすと、ときたま変に模様がするだろ、そういった迷路さ。
胃の消化 外レ籤あみだ @hazurekujiamida
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