5話ドラゴニュートvsドラゴン




3時のおやつのフルーツシャーベットを食べ終わる




「ごちそーさまでした!おしいかった!」

手を合わせて空っぽの器の前でそう言う少女



騎士「はい、おそまつさまでした。」




騎士が皿を流し台に置こうと手に取っ時だった。



〈ビー!!!ビー!!!ビー!!!ドラゴン出現!!ドラゴン出現!!この区域の住民は速やかに指定避難場に避難せよ!

繰り返す、この地域の住民は速やかに指定避難所に避難せよ〉



1ヶ月前に聞いた警報が再び流れた。



騎士「!(このタイミングでか!?)」


「みみぃ。うるさい」

とうずくまる少女



騎士「(そっか、この警報音はドラゴンが苦手な音だからドラゴニュートにも効くんだ)」


騎士は近くにあった布団で少女を包みツノと尻尾をを隠すと外に出る


あたりの人々も避難していて人がごった返す



騎士「(このまま避難所に行ってどうする!?もしこの子のことがバレたら?)」


いつも通り避難所に向かっているはずなのに足取りは重くて


それが少女を抱えてるための物理的な重みではないことはわかる。




いつのまにか避難している人々の最後尾になっていた騎士




サイレンの音に慣れていないため相変わらずうずくまったままの少女とともに



その隣で



「うわぁ!!」


小さな子供が転んだ



騎士「!!!」


騎士はその子供に駆け寄る



騎士「大丈夫か??」

そして手を差し伸べた。


「う、うん!」

あたりに親はいない、逃げてる最中に逸れたのだろう


よくあることだ


騎士「よし、お兄さんと一緒に逃げよう」


騎士がそう言った時だった



〔ぎゃぉぁぁぁぁぁぁあお!!〕



凄まじい鳴き声と共に

大きな羽を使いドラゴンが地面に降り立った。




騎士「ワイバーン!!!!(しかも多分この前ここを通り過ぎたやつだ!)」



ドラゴンの中では小柄なほうだがやはり人間と比べてば大きな猛獣



騎士「君は走って逃げて!」


騎士は転んだ子供を先に逃がそうとそう言う


子供は何がらも必死に走った。




〔ギャァァァァアア!!!〕

先ほどよりも近く大きな鳴き声に思わず騎士は耳を塞ぎたくなるが堪えてドラゴンの前にたちはだかる



騎士「(今、俺が避難所に逃げたらそこまで追いかけてくる…なら)逆方向に逃げるしかないか」




少女をしっかりと抱え直すと騎士は全力で逃げてきた方向に戻る


ワイバーンはもちろんそれに気づいて追いかけてくる。



建物の影を利用しワイバーンの強烈な一撃を掻い潜るがそれでもやはり足は敵わない


あっという間に追いつかれた。




〔ギャァァァァアア!!!!〕



ワイバーンは獲物を捉えるために大きな鉤爪を騎士に向けて振り翳す。





騎士「ぐっ!!」

少女を庇いながら騎士は避けようとしたが避けきれず背中を切られた。



痛みに耐えられずその場で埋まる騎士


あたりには血の匂いが充満する。


その匂いでワイバーンはさらに興奮したのか

勢いよく騎士向かって再び鉤爪を振り翳した




騎士「(あぁ、やられる…)」


騎士は死を悟ったのか体の力を抜いた。





「ガァァァァァァア!!!」



騎士が諦めたその時だった



ドラゴニュートの少女は大きく体を捻るとその体を戻す勢いだけで大きく尻尾をワイバーンに振り翳した。



〈ドッガーーーーーン!!!!〉


大きな音と地響きを立ててワイバーンは地面に叩き潰される。



小さな少女にたった1発で打ちのめされたのだ。




騎士「!!…………」

その様子に騎士は唖然とした。


「ガルルルルルル……」


少女はまるで本物のドラゴンのように唸ると騎士を見た


その目は獲物を狙う先ほどのワイバーンと変わらない。


騎士「…!」




騎士もなんとなく分かった。


あぁ、食われると



_______しかしそうはならなかった。



「こら!人を襲っちゃダメだぞ!!」

オレンジ色の髪の青年…いや尻尾と角が生えているから



騎士「(ドラゴ………ニュート)」




「ガァァウ!!」

オレンジ髪のドラゴニュートは口枷のようなものを取り出して少女につけた



騎士「お、おい!」


「ギャァ!」


「あ"ぁ"ん"??んで、野生のドラゴニュートなんていんだぁ?」

騎士が止めようとした時に

もう一人、紫色の髪のドラゴニュートが現れて少女を踏みつけた。



「分からん!!けどこの子がワイバーン倒したんだろ??


いったん持って帰って相談しよう!もしかしたら新しい仲間になれるかも!」



「でも人間を襲おうともしてたぞ、処分だろ。」

と騎士を見た紫髪のドラゴニュート


騎士「(しょ…処分!?)ま、待ってくれ!!その後は俺の…む、娘なんだ!!


普段は活発だけどいい子だし。きっとワイバーンに襲われたからちょっと取り乱してるだけで…!」


血で痛む背中を抑えながら必死に少女を庇う騎士


「グルルル」




「……んぁ?なんだテメェ人間か?血ぃクセェなぁ」

鼻をスンと鳴らしながらそう言う紫髪のドラゴニュート


「うーん。あの人は俺手当するから。鱗太(リンタ)はその子、抑えたまま、クミに電話して!」


鱗太どうやらそれが紫髪のドラゴニュートの名前らしい


鱗太「んで俺がしなきゃいけねぇんだよ!!!」

と鱗の不満の声が響いた




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