第三章 さよならリーリア姫

第16話 女神イリス様、再び

 第三章 さよならリーリア姫


「アニキ、山茶花の花なんて見つめて、どうしたんだ??ってか、どこから手に入れたんだ、その綺麗な山茶花」と、ディアスがアイレスに翌日の午後、言った。お互い、公務がひと段落したのだ。

「昨晩、ヴェロニカにもらった。明日にはしおれてしまうだろうが」と、アイレス。

「アニキ、悪い噂が流れてるのは知ってるだろ??ヴェロニカと会うのも、頻度を下げた方がいい。俺からの忠告だ」と、ディアス。

「そのうち、ここにいられなくなるぞ」と、ディアスが言った。

「そうだな」と、アイレス。

「分かってるんなら、ヴェロニカにも忠告をしたらどうなんだ、婚約者として!」と、ディアス。

「俺とヴェロニカは、求め合わずにはいられないんだ・・・分かった、その件、忠告しておく!」と、アイレスが椅子から立ち上がり、コーヒーを片手に、ディアスにウィンクした。


 アイレスは、女神イリス様と通信できる、城の裏手にある教会へと向かった。

「女神イリス様、どうか、ヴェロニカと結婚させてください。俺とヴェロニカは、愛し合っています」と、アイレスが祈りをささげた。

 気づくと、祭壇の向こうから、神々しい衣装を着たイリス様が、少しだけ宙に漂い、姿を現していた。

「女神イリス様!!」と、アイレス。

「悪い噂が流れているのは、聞いていますよ、国王・アイレス」と、イリスが言った。

「ヴェロニカには、最終的にディアスを選んでほしかったのです。だから、あなたとヴェロニカの仲を邪魔していました。本当は、ヴェロニカは、もうリーリア姫の職を放棄してもいいのです・・・結婚相手がいるのですから。あなたがそう頼むのなら、新しいリーリエ姫を選びましょう」と、イリスが言った。

「ありがとうございます、イリス様」

「ヴェロニカとあなたは、この世界にはもういられないでしょう。国王暗殺の悪だくみをしている連中もいると聞きます。ディアスに、国王の座を譲り、あなたとヴェロニカは、違う世界に行きましょう」と、女神イリスが言った。

「そ、それは・・・」と、アイレスが渋る。


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