第43話 ヤマト
自転車の仕事が終わったので試験用に預かっていたお値段二百万円の自転車を送り返す。
ヤマト宅急便で送られてきたものなので、専用の運搬箱に入れてビルの一階にあるヤマト運輸へ持ち込む。
「ウチじゃ送れないよ」
窓口のおっさんにけんもほろろに追い返された。ちなみに『けん』も『ほろろ』もキジの鳴き声であるから、この窓口のおっさんは人間に見えるがキジの仲間らしい。
え? でもこれ、そちらが運んで来たものだよ?
一度事務所に戻り、こうなれば佐川急便を使うかとネットで調べる。
同僚の女性が話を聞き、そんなことはないはずと一緒に荷物を持って受付へ運ぶ。
今度はあっさりと受け付けて貰えた。
彼女の迫力を見て、最初から断るのは無理と見たらしい。
つまり送れないではなく、単に窓口のおっさんが事務手続きが面倒なので断ったらしい。
暴れれば良かったのだ・・。
企業の上が努力して企業イメージを上げても、窓口の人間がただサボリたいだけにそれをひっくり返しているのだから世話がない。
一世を風靡したヤマトも落ちるところまで落ちたものだ。
これと似たケースにサイレントメールがある。
仕事の募集に応募すると、返事すら返ってこないケースが多々ある。
これをサイレントメールと言う。
募集した企業にすれば断りのメールを見れば応募者はショックを受ける。だから返事をしないのだと言う。
呆れた話だ。何をどう言いつくろっても相手を無視しているのだからこれほど失礼な話はない。社会人が絶対にやってはいけないことの一つだ。ましてや自分たちが募集しておいてこれはあり得ない。
実際のところサイレントメールの原因は、返事をするべき窓口の担当者がただ面倒臭いので放置しているせいだという。
つまり窓口の人間が定型メールを送るわずか十秒をケチってサボルために、企業のイメージを各段に落としているのである。
分かったかね?
eSOLのサイレントメールの担当者よ。それ以来、客先でそちらの企業のツールを使う話が出た時は、私は全力で反対するようにしている。
募集窓口さえ仕事の手を抜く企業を心底信用できないためだ。
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