第12話 スターターキット始動

 マモルを生み出すのに成功したことを家族に伝えると、寄ってたかって見せてくれと騒ぎ出した。意外と新しい物好きな家族である。


 これで人工精霊スキルのスターターキットが出来上がったみたいな気がする。魔法陣の大変さや座りっぱなしの痛さを考えると必須のような気もするけど、過去の精霊遺物に似たようなものがなかったので意外とみんな思いつかなかったのかもしれない。


 スキル発動中に行う作業も快適に出来るようになったので、家族みんなの要望に応えていこうと思う。

 まずは家長であり多方面で協力してくれている父上だろう。どんなものにどんな精霊さんを付与したいか聞いたところ、仕事で登城などをした際も快適に過ごせる能力がいいとの事だ。暑い寒いや匂いやべたつき、そういったものをどうにかできたらという事だった。やってもらうとしたら環境調整だろうか。


 父上が毎日つけているお気に入りのピンに精霊を付与していく。サクラとマモルの力は絶大で、流れるように魔法陣が描けるうえリラックスも出来ていて尻や腰、首、肩などにも痛みや疲れがでない。疲れる所までやってみようと集中すると、気が付けば日が完全に落ちていた。


 疲れもなく魔力もきれなかったので時間に気付かなかった。流石に焦って部屋を出ると、侍従の者たちが待機していて駆け寄ってきた。どうやらあまりに長時間反応がなかったので不安になっていたみたいだ。

 一度父上と兄上が部屋に入って確認したらしいが(全然気づいてない)、あまりに僕が集中していたのでスキルが終わって部屋を出て来たら呼ぶように待機させていたらしい。


 広間に呼ばれ行ってみると、父上と母上たちがおり僕の夜食が用意されていた。父上も母上たちも僕が無理をしているんじゃないかと心配しているようだった。


 実際は全く無理をしてないどころか、前の二つのスキル使用時よりも断然楽で体力も魔力も余裕がある。マモルの疲労回復には体力と魔力の回復促進効果があるし、血行促進はより集中とリラックスを高いレベルで実現してくれる。痛み軽減は集中を持続させてくれる。そこにサクラの高いサポート力である。


 もう少し行けそうな気もするけど、あまりに長く部屋に籠っていても家族たちを心配させてしまう。


 父上と母上たちには


「家族のみんなに心配かけたくないので、最長でも今日くらいまでにセーブしておきます。」


 と伝えた。なぜかみんな目を丸くしていた。



 美味しい夜食を食べ英気も養えたので、明日からも人工精霊がんばろー!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る