第4話 10歳の授与式

 この世界には10歳になると女神様から恩恵を授けられる、授与式というものがあるらしい。もちろんハインラッド家のみんなも何かしら授かってるし、貴族じゃない人々もみんな授かる様だ。うちの国では平民の授与を認めている。国によっては貴族の特権として認めないところもあるようだが、そういう国は大体独裁国で国力自体がどんどん落ちていくようだ。


 そういう事もありこの世界は基本家族が多い。いっぱい家族が居たほうがいいスキルを得る子孫が増えるし、心から協力し合える有用なスキル持ちがいるとそれだけで人生が楽になる。貴族も平民もみんな家族の規模が多い傾向がある。


 そんな世界的なイベントを迎える、僕アルマー・ハインラッド・リューク(10)はわずかに緊張していた。いや・・・かなり緊張していた。


 授与式で貰えるスキルによっては出来る事ややりたい事に大きくプラスになる事がある。その逆に制限がかかってしまうものもある。完全に天運任せなので余計にドキドキしてきた。


 そんな風に不安がっていると、


「大丈夫よ!リュークはあんなに魔法の勉強できるんだもの!スキルだってきっといいものが貰えるはずよ。もしダメでもお姉ちゃんたちが守ってあげるわ!」


 と、四女サリーナと五女フィーネが元気づけてくれた。精神年齢が上がってからは妹(下手したら娘)の様に感じていた二人から元気づけられて家族の温かみを感じるのだった。


 当たり前だが僕以外の家族は全員授与式を終えている。みんなとてもいいスキルを授与されたので将来が有望視されている。


 そしてとうとう僕の番である。


 神殿内部にある授与の間。ここは授与される子以外入ってはいけないことになっている。僕の番が来て、授与の間の前に行く。神官から「授与が終わったら内側からノックしてください」と言われ部屋に入った。


 授与の儀式のやり方を最近ずっと練習してきた。女神様の像の前に跪いて目を閉じて祈る。


「女神様、いつも見守ってくださりありがとうございます。天地の平和を守ってくださる女神様にご恩を返せるようがんばります。」


 子どもが覚えられるように簡略化された祈りの言葉を唱えると、目の前が明るくなった気がした。儀式の際中は目を閉じているように言われているので、誘惑に負けず見るのを踏みとどまった。


 すると頭の中で声が聞こえてきた。


(この世界を楽しんでね)


 短い言葉だったけど聞き覚えのある声。記憶の中で聞いた「私を信じて。」と同じ声だった。あれ・・・女神様だったんだ・・・


 そうして呆けていると光は徐々に収まっていき儀式が終わった。



 僕はスキル:人工精霊を獲得していた。

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