【AMSR台本】君におねだり −あの子と過ごす密な時間(とき)♡

保志見祐花

第1話 あたしは君が知りたいの




(街中のざわざわ音)

(とりあえず都会)

(主人公の疲れた靴の音)




「みーつけたっ(小さい声)」


「ちょっと待ちたまえそこの青年!(張りのある声で)」



「ちょ、ちょっと! ちょっと待って! そこの! そこの!(慌てた様子)」




SE:止まる靴音、切れ切れの息、近づいてくる靴音




「……はぁっ、そう! そこの君! まったく~シカトしないでよ、もぉ~!」



息遣い:(吸っ)


「ほら、あたし!

 あたし、覚えてる?」


「ほーら! ね?

 この顔!

 覚えてるでしょ、分かるでしょ?」




(数秒の沈黙・立ち去る靴音)



 

「(慌てた様子で)

 …………違う違う違う違うツボ売ろうとしてない!

 パパ活しましょ~♡って、しないし! 

 鍋も絵も売らないし手相も見ないし、な、えっ? ”インスタで月収100万”? そんなのあたしが知りたーいっ! もおー!(怒り気味)」



「ほーら! あ・た・し! 

 学生の時一緒だった! ほら!」



(……考えている沈黙)



「…………ほら、ほら。覚えてる? 

 思い出して?」


「──そう、ラム♡ って違うわ、それどこのコンカフェ嬢だよっ」



「はっはぁ~ん?

 そーいう名前がスルっと出るってことは~?

 そういうお店行ってるんだ~、へえ~、立派になったもんだねぇ~キ・ミ♡」



(気が付いたような靴音・素早い布スレの音)



「──そう♡ あたり♡

 ……ふふ。そのあだ名で呼ばれたの久しぶり~♡ そうやって呼ぶの後にも先にも君だけだよね~」


「ま、君のコト「君」って呼ぶのも、あたしぐらいだと思うけどね?(くすくす)」



(街中のざわざわ音)



「え? 

 『ここで何してる』……って。

 えーっと(理由を考える感じで)」



「偶然通りかかったら、君とエンカウントしたから。お腹空いたし、一緒にご飯でもどうかなって(提案する口調で)」

「仕事終わったでしょ? どう?」




「…………え?

 アマゾンギフトカード?

 違う違う、だから詐欺じゃないって!


 サロン?

 講座?

 なんでそうなるんだよっ、どれだけ疑り深いのッ!」



「(はあ、とため息)

 まあ~、分かるけど?

 学生時代の同級生が可愛くなって目の前に現れて、「ごはん行こう」なんて詐欺かなっていうのわかるけど、そこまで疑うの違くない?」



「可愛いって、あたし。

 あたしのことよ、あ・た・し!

 可愛くなったでしょ?

 今日なんて特に気合入れてメイクしてき……」

(早口からの尻つぼみ)




「──ううんっ? なんでもないっ?」


(高めのトーンから、一転)

(腕組みの布スレ音と、やや呆れ気味&上からの声で)



「……はあ~……、

 ほんと変わらないよね、君のそういうトコ・・・・・・

 知識あって、賢くて。

 『知らない電話番号からかかってきたら出ずにググる』って教えてくれたの、君だったもんね?(呆れと懐かしさと親しみの混じった声)」



(秒の間)

(ふう、と鼻から逃がす落胆の息)


「……あの頃は頼もしかったけど、逆になるとこんな……」

「こんなに乗ってくれないなんて……」(しょんもり)



「あたし、君のこと見つけた時、めっちゃテンション上がったのに……」

「ご飯くらい一緒に食べてもいーじゃん……(落ち込んでいく様子)」



「……え?」(希望の声)

「ほんと?」(驚嘆気味に)

「ほんとに? ご飯いいの? ……やった!」(はしゃいだ声)



「…………んっ?」

「えーと、そう、」

(ちょっと慌てて考えてる風)




「『おひとり様じゃなくなって、嬉しいっ!』ってこと!」

「ね。どこいこっか? おすすめの店ある?」




「……え?」(きょとん)


「『パスタかカフェがいいんだろ』って」

「……はああ~~~、(呆れまくり)なんでそうなるかな?」



「あたしは『君のおすすめ』を聞いたの。

 君のことが・・・・・・知りたいの」


「学生の時は良く一緒にご飯食べたけど、社会人になってからの君、知らないんだもん。君がよく行くとこ、教えて?」




(スマホを操作する音)

(見せる感じの布の音)

  


「……お? ここ?」

「へえ、いつも行くの?」

「……おっ、リーズナブルぅ~!」



「うんうん、ここ、行こう!」

「ふふふっ♡」

(ご機嫌な声)


「たのしみ~♫」




「……だからぁ、ツボも石も売らないって!」




→NEXT



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