第26話 いらっしゃいませ。オークランドへようこそ!
僕とガドインさんとルークさんの3人はならず者たちのタイムラインを参照にして彼らの根拠地となる廃村まで辿りついた。もちろん僕は女装したうえで縄で縛られている。
出発する際、 女性陣はそんな僕を横目でチラ見しながら頬を赤らめていた。なんか性癖歪みかけてない?大丈夫?
そういえばならずものたちのグループの名前はデモンズオークだそうだ。デーモンとオークの間の子かな?
ちなみにデーモンもオークも昔は結構いて人類にとって脅威だったらしい。
らしいというのは実物を見たことがないからだ。
それもそのはず、長い年月を経て対策が確立され、父さん達の世代の頃には既に素材目当てで乱獲されて数が激減しており、一部の生息域を除いて魔物たちはほとんど見かけなくなってしまったのだ。
そりゃ父さん達も冒険者辞めて若くして田舎に移住したりするよ。今でも首都には冒険者ギルドってのが残ってるらしいしなんなら目的地のひとつだけど往年の賑わいは見る影もないそうだ。ちょっと残念だよね。
ただ、魔物との戦いが減った分人間同士の諍いが増えたらしいけど…どこの世界でもかわらないね、こういうのは…。
少し話が脱線しちゃったがいよいよ潜入作戦開始だ。僕たちは目配せして頷きあうと木陰から踏み出して見張りの男に話しかけた。
「よお!デモンズオークの根拠地ってここかい?」
「貴様誰だ?見かけない顔だな…」
こちらを警戒して見張りの男が武器を構える。
「おいおい勘弁してくれよ。俺はペドロ(捕まえた5人のうちのひとり)の友人のマルク。こっちはブラッドさ。ペドロのやつにうまい話かあるって誘われてな…こういう女がご所望なんだろ?」
ガドインが乱暴な感じで僕を突き出す。
ひぇぇ〜バレませんように…
男にジロジロみられてつい目線をそらしたがひとまずバレてはいないようだ。
「ふむ、確かに…。いやまて、まだ合言葉を聞いてなかったな。ペドロから聞いたのなら知ってるだよな?」
「いらっしゃいませ!オークランドにようこそ!…だ…。」
「よし、いいだろう。今ボスを呼んでくるからその場で少し待っていてくれ」
危なかった…知ってたのに思わず合言葉で吹き出すとこだったわ(笑)誰だよこんな可愛らしい合言葉考えたの…。
そうやって笑いを堪えてるとドカドカと足音が聞こえてきた。おっとようやくボスの登場か。悲嘆に暮れているような演技しなきゃな。
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