第23話 そしてぼくは女の子になる
…尋問中…
「ふむ…とりあえず少しは状況が理解できたよ」
とドヤ顔の名探偵。もちろんその間僕も遊んでいたわけではなく、ごろつきたちのアカウントのタイムラインをチェックしていた。
さぁ答え合わせといこうか。
「まず第一に今回の誘拐事件だがどうやら市長の自宅のお嬢様お付きのメイドが関わっているみたいだね。おそらくだが何かしらのことで脅して事件に関与させた疑いが強いとみていいだろう。
そして市長の娘以外にも他にも捕まっている女の子が複数いるようだね…ということはたまたま市長の娘だっただけで市長が原因の事件ではない…?
身代金などの要求もしていないようだし単なる人さらいか?いや、それにしてはおおがかりすぎるのが気になるな…
私を狙ったのは根拠地の近くを嗅ぎ回っているやつを始末しようと思ったが、たまたま女好きのボスの求める娘と条件が一致したということで捕らえようとしたらしい。いや、まさか私が美しすぎるせいだったとは…うかつだったね」
え、そこ自画自賛するんだ…確かに知的美女って感じだけどなんとなく頭に「ちょっと残念な」とつけたくなるような気がする。
まぁそれはさておきなるほど、 さすがは名探偵。概ね辻褄は合っている。
補足するならメイドは両親を人質にとられて協力させられており、黒幕はこいつらは知らないもののどうも青髪の若い女を攫ってくるようにボスから命じられているらしい。市長の娘以外にも攫われた女の子たちも青髪のようだな。エレノアなんてドンピシャだしまさに飛んで火に入る夏の虫ってとこか。なぜ青髪の若い女を狙っているのかは謎だが…
ちなみにごろつきたちは野盗に入ったばかりで持ってるスキルも農耕系ばかりだった。後は染色スキルを持った人が一人。農民崩れで野盗に身を落としたってところか。この世界は世知辛いなぁ…
「それで、エレノアさんはどうするつもりで?」
「もちろんこのまま放置しておくわけにはいかないだろうね。いつまでも彼女たちがここに囚われたままとは限らないし。かといって無策で彼らの本拠地に飛び込むわけにもいかない。私は戦闘能力は皆無だしね。ガドインとルークもそれなりの手練れだが、 二人だけで誘拐された人たちを救出しながら誘拐犯たちを殲滅できるかというとねぇ」
「おいおい無茶ぶりはよしてくれよ…あんたとは何度も一緒に仕事した仲だがさすがにそんな無謀な作戦にはつきあえんぞ」
エレノアさんの護衛に雇われた30代くらいのおじさんたちも勘弁してくれ、 みたいなジェスチャーで首を横に振った。
「アキサムくんはどうだい?何か思いつかないかな?君はわりと頭の回転が速そうだし何かアイデアをだしてくれると助かるんだが」
アイデア、アイデアね…
人質もいるし正面突破はないな…かといってこっそり侵入できるような力もないし。
だとすると…トロイの木馬とかありか…?
「どうやら彼らはエレノアさんみたいな女性をねらっているようですしわざと捕まったふりをして潜入するのはどうでしょう?」
「ええぇ…でもそれ私だと捕まったきりにならない…?ん…待てよ…」
ううん?エレノアさんがなにやらじっとこちらの顔を見てくるんだけど?
…なんかいやな予感がする…
「アキサムくんさぁ…女装に興味ないかな?」
やっぱり~
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