第22話 探偵はもう知っている
「誘拐事件か…市長の娘ってことは身代金目的か政治的な目的かはたまた怨恨なのかいろんな可能性が考えられますね」
そう僕が返すと彼女は少し驚いたような表情を見せた。
「あら坊や意外に頭が回るのね。私はエレノア・バーランド。この山を下った先にあるキンバレー市で探偵をやっているのよ。あっちにいるのは今回護衛に雇ったガドインとルークね。」
「アキサム・エドワーズです。坊やじゃないです…。隣にいるのはフランとエミリアとサフラン。向こうで貴女の護衛たちと話しているのがアリアとユーリ。
皆、旅の仲間です。ゴホン、とりあえず詳しい話は襲ってきたごろつきたちをふん縛ってからにしませんか?」
「ふ〜ん…。あなたたちも訳ありっぽいわね。ちょっとあなたたち~。そいつらから話も聞きたいしとりあえずその男たち全員拘束してちょうだい」
一応追われる身ということで念の為フレイアは人のいるところでは偽名を使おうということになっている。しかし特に変なことは言わなかったはずだが…
ともあれこのごろつきたちから何か聞き出したいところだし、ひとまずはこの探偵さんとやらのお手並み拝見かな?
まぁ最悪何も聞けなくてもこいつらのタイムライン覗けばいいけど他人のこの能力をあまり説明したくないんだよなぁ…
とりあえず襲ってきた連中はすべからく拘束し終わったので、 改めてお互い軽く自己紹介。
「このパーティーの実質的な代表になるフラン·イスマールです。よろしく」
「エレノア・バーランドです。この度は窮地を救って頂きありがとうございます」
「いえ、当然のことをしたまでよ。ところで市長の娘さんが誘拐されたとのことですけどどうして警吏の人間ではなく市中の一般人の貴方が捜査を?」
あ、それ僕も気になってた。
「彼女は自宅にいるところを攫われたのです。なので市長は内部に内通者がいると睨んで、警吏を動かすと共に市中で名探偵と名高い私に捜査を依頼したのです。」
あ、自分で名探偵って言っちゃうんだ…
「そこで捜査を開始した私は調査の結果ここの山林に怪しい人物が出入りしているという情報を入手したので意気揚々とやってきたわけです」
それで襲われてピンチになっちゃったと。
まぁ悪い人ではなさそうやね…とりあえずアカウントも見させてもらうか。
え、「看破」?嘘を見抜くスキル?!しかもカンストしてるし…。こんなん探偵に持たせたら駄目なやつやん。もしこの人が探偵マンガの主人公とかなったら絶対つまんなくて即打ち切りだよ!
あ、さっき訳ありって言われたのこのスキルでフレイアの偽名を見破られたせいか。これはちょっと面倒なことになったなぁ…
「さて、諸君!ここからは名探偵の時間だ。」
エレノアさんは眼鏡をクイッとあげると、 縛り上げたゴロツキたちにニヤリと笑いかけたのだった。
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