第19話 旅立ち・後編

僕たちが村の入り口までやってくると、 既にフレイアたちと僕たちの家族が首を長くして待っていた。


「お兄ちゃん遅~い」

「ごめんごめん、お待たせ~」


文句を言う妹の頭を撫でながら旅支度したフレイアたちの姿を眺めていると、 少しずつこれから旅立つって実感がわいてきた気がする。

それにしても少し軽装すぎる気がしたが、どうやら王家秘蔵のマジックバッグ的なものがあるらしい。

まぁ確かにそんなものがなければ着の身着のまま何日も山越えとか出来ないよな…。せっかくだからぼくたちも使わせてもらおう。


「やっぱり私もついていこうかな…お兄ちゃんたちだけだと心配だし」


と言い出したミーナに慌てて両親と共に説得する羽目になったりとすったもんだもあったがいよいいよ出発の時が近づいてきた。

とりあえず僕も出発前にSNSで忘れものとかないか軽くチェックでもしておこう。


あれ、いつの間にか僕のプロフィール画面に青い鳥の羽らしき装飾が二つついてる?

何も通知とかきてないしなんだろうこれ?アップデートでもされたのかな…


僕がそうやって首を傾げていると母さんがなにやら手荷物みたいなものをもって話しかけてきた。


「これは少ないけど旅費の足しにしなさい。それとひとまず共和国首都のセイリオンを目指しなさいな。 首都の冒険者ギルドの会長とは昔懇意にしてもらっていたから今回の一件について報告も兼ねて手紙を書いておいたからちゃんと渡すのよ? 下手するとフレイアさんたちの処遇を巡って帝国と共和国の間で外交問題になりかねないんだからね、気をつけなさい」


「わかったよ、母さん、ありがとう」


そう母さんに返すと急に背後から抱きしめられた。

温かい母の温もりに前世の母さんの顔がおぼろげに重なりなんだか泣きそうになる。


「きをつけていってらっしゃい。…そしてちゃんとエミリアちゃんと一緒に元気に帰ってきてね」


「うん…いってきます! …母さんも父さんも、おじさん、おばさんもお元気で! いこうみんな!」


「ああ!」

「うん!いこうアキくん!」


こうして僕たちの長い旅路は始まった。

この旅路が僕にとってどんな意味をもつことになるのか、僕はまだ知る由もなかった。




一応第一部終了って感じですかね…。



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