第18話 旅立ち・前編

理不尽だ…

僕は痛む頬をさすりながらエミリアの後を追いかけていた。

いよいよ出発ということで彼女を迎えに行ったのだが、なんだか思い詰めた表情をしていたので緊張してるのかな?と、 軽く冗談混じりに


「心配しなくても今日もエミリアはかわいいよ!」


って言ったら自慢の赤髪のごとく顔を真っ赤にしたかと思うと


「このバカっ!そんなんじゃないの!」


とひっぱたかれたかと思うとドアから飛び出していってしまったのだ。

昨日なにかあったのかな…SNSで調べてもいいけどさすがにどこでそれを知ったの?

ってますます怒らせそうな気がするしやめとこうかな。

過度なプライバシー侵害はやっぱりよくないし。

何か重大な問題ならそのうち話してくれるだろうエミリアなら。

今はとりあえず追いかけて機嫌を直すほうが先決だよ。


「ま、待ってくれよ~」

「…」

「ごめん、からかって悪かったよ。なんだか元気ないように見えたからさ…」

「アキくん…こっちこそごめんなさい。ちょっと神経質になってたかも」


よかった~機嫌直してくれて。

これから長い旅にでるんだし出発から揉めたくないしね。


「それはそうと…アキくんはおっぱいが大きい人がタイプだってミーナが昨日言ってたけど?」


ブフーッ!!

あいつなんてことバラしやがるんだ!昨日の女子会だな?

さてはエミリアが機嫌悪かったのってそれか? いや、触らぬ神にたたりなしっていうしこの件は聞かなかったことにしよう。


「な、なんのことかな…それより早くフレイヤたちと合流しようぜ~」

「あ、こら、ごまかすな~」


僕たちはじゃれあいながら村の入り口で待つみんなのところに足早に駆けていくのだった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る