第16話 青い鳥

エミリア視点


--ポチャン--


「ああ、気持ちいい〜。やっぱりここの温泉は最高〜。 そう思いません、 フレイアさん?」

「ああ、確かに…。王宮にも広い風呂はあったが、 露天風呂というのはまた違った趣きがあって素晴らしいな」

「でしょでしょ〜」


ガリアへの旅の出発前夜、 わたしはフレイアさんたちとミーナを誘って村の名物のひとつである露天風呂に入りにきていた。 といっても観光名所だとかそういうわけではなく村民の憩いの場みたいなものだ。お母さんも誘ったんだけどアキくん家のおじさんおばさんたちと一緒にお酒を飲むらしくて断られちゃった。 

え、アキくん?いやさすがに幼馴染とはいえ一緒にお風呂に入るのは…ね。

そういうのはもうちょっと大人になってからごにょごにょ…


それにしてもみんなスタイルいいなぁ…

フレイアさんが16歳、 他の皆さんが18歳と12歳の私と比べて年齢は少し離れてるけどみんな成長しすぎじゃない? 特に胸部とか…

わたしは自分のぺったんこな胸をチラッと見ながらそっとため息をついた。 わたしだってこれから成長期がくるんだから!


…でも一つ年下のミーナちゃんの方が育ってる気がするのはどういうことかしら…


わたしが挙動不審な目線をしていることに気づいたのかミーナちゃんがニヤッと笑いながら


「そういえばお兄ちゃんはおっぱいが大きいのが好きみたいだよ」


と爆弾発言してきた。とたんにむせるフレイアさん。

あのおっぱい星人め…


「でも小さいおっぱいもそれはそれで価値があるって言ってたよ。貧乳はステータスだ!だって。よかったねエミリア♪」


今度は私がむせる番だった。

あいつ妹になんて話してるのよ!!!


アキくんに対し明日〆る…と固い決意を抱いたわたしだったが、 ふとフレイアさんの右の肩口に青みをおびた小鳥の羽根らしき紋様がついているのに気付いた。なんだろこれ?


「フレイアさんその肩口の青い羽根みたいな紋様は…?」


「ああ、これか…5年前くらい前に急に現れたんだ。最初はなにかの呪いかなにかかと思って国中の専門家に相談したんだが何もわからなくてね…。実害もなにもないものだから結局放置してるのです」


「へぇ…そうなんですね〜…ってなによミーナ」

「それ、同じものがエミリアの左肩にもあるよ」


え、嘘、そんなの前になかったけど…


「確かにエミリアさんの肩にも姫様のと同じものがありますね…これはどういうことでしょうか?」

「私にもなにがなんだか…」


いったいどういうことなんだろ…?


「もしかして…」

「なんですフレイアさん?」

「私達の出会いは偶然ではなく何かしらの運命に導かれたものだったのかもしれませんね…」


その呟きにこたえれる者などなく、 漠然とした不安がわたしたちを包むなか、ただただ湯音のみが静寂した温泉に木霊するのだった。

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