第13話 せまられる決断
山中の激闘を経て一夜明け、
関係者一同、 つまりフレイヤ姫一行、 シュバイツァー家及びエドワーズ家の面々は今回のことを話し合うために村長宅に集まっていた。
村長宅の広いリビングもこれだけの人数が集まるとさすがに狭く感じる。 というかうちの妹はなぜ参加してるんだ…
なんか隅っこでエミリアときゃーとか言いながらこっちをみてるし…なにを話しているんだろう?
「なるほど、 そういうことでしたか…大変な目に遭われましたな、姫殿下。」
フレイヤ様と向かい合って話しているのはフォルテーゼ村の村長のマードックさん。髪に白いものがだいぶ混じってきたもの、 まだまだ老いて盛んといった感じの好々爺である。父たちが移住してきたのはこの人と意気投合したのもきっかけだったらしい。
「殿下はやめてください。祖国が滅びた今、 わたくしはただのフレイヤです」
「姫様…」
怪我をしていたアリアさん、サフランさん、ユーリさんたち姫様のおつきの人たちもアイナさんの治癒魔法を受けて既に動けるようになっていた。
ちなみに僕もアイナさんのヒールを【リ·アルト】して治療を手伝った。 アイナさんは治癒魔法を使う僕を目を丸くしてみていたけど…
そうそう、さすがにごまかしきれないので皆にはSNSで出来ることを一部を除いて公表したよ。
みんなも自分の私生活が丸見えになっていることを知ったらさすがにドン引きするだろうからそこはうまくごまかして、 フォローした人間の危機を知ることができるようになり、その行動をタイムラグなしに繰り返させたり、 逆に自分がフォロー相手の行動を真似して該当スキルがなくても使えるようになる…と。
ミーナやエミリアなんかは純粋に凄い!と褒めてくれたものの
大人組はやや深刻な面持ちでそのことは公言するな、 と忠告してきた。まぁ当然だよな…はっきりいって汎用性が高すぎる。この力が知られたら僕の身柄を狙うやつが出てきてもおかしくないだろう。
「それで…今後どうなさるおつもりで?」
と聞くアルクおじさんに対してフレイヤ様は聖ガリア王国の国王の正妃であられる叔母様を頼るつもりだと答えていた。
「そうですか…しかし聖ガリアまでは遠い。 ここ共和国を通過して隣国のパルステーンの港から船に乗る必要がございます。皆さんがそれなりに戦えることは承知していますが女性4人でガリアまで渡るのはなかなか困難でしょうな」
「今回のように帝国の追っ手がかかる可能性もあるな…」
と親父もアルクおじさんも難色をしめすなか、 ふと顔をあげるとフレイヤ様が僕のことをじっと見ていた。するとその視線に気づいた大人たちが一斉に僕をみつめた。
え、もしかしてそういうことなの?
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