第12話 べ、別にデレデレしてないし…

炎の嵐にのまれるウマルの姿をみた副官のダンケルはまさかの光景に息を呑んでいた。 あの無敵を誇っていたウマルがこんな年端もいかない小僧にやられるなんてとうてい信じられないことであった。


故に動揺していて気付いた時には火達磨になったウマルにその手を掴まれていた。


「ぉ゙い…俺を助けろダンケル…」

「うわぁぁぁ〜、は、 離せ! 熱いぃぃ〜」


なんとかウマルを振りほどこうとしたダンケルはそのままバランスを崩してもつれるようにウマル共々崖から転落したのだった。


ピロン

フォローしていたアカウント「ウマル少佐」が消滅しました。このアカウントの呟きは以後利用出来ません。


終わった…のか?

ウマルが崖から落ちて死んだあと残っていた帝国の兵たちは叫び声をあげて散り散りになりながら逃げ出していった。

しかし、死んでアカウントが消滅したらもう【リ·アルト】も使えなくなるのか…「反射」自体は凄い便利だったし、 デジタル・タトゥーとして残ったままだったらありがたかったのに。


倒したらそいつのスキルは使えなくなるってまるで昔一世を風靡したドラゴンもまたいで通る人の魔法みたいだな…とぼんやり考え事をしていたら美人の姫さんに正面から抱き寄せられていた。


「アキくん…だったかな?この度はわたくしたちを助けてくれて本当にありがとう。君のおかげでなんとか窮地を脱することが出来た」


べったんこのエミリアと違いふくよかな胸部に包まれてドギマギしながら「い、いえ、とんでもないです…」 と答えながらチラっと横を見るとエミリアがふくれっ面で腰に手を当てて立っていた。


「アキくん姫様にデレデレしすぎなんですけど!」

「そ、そんなことないから…」


そうやってエミリアとギャーギヤーやりあっていると逃げた帝国兵を捕らえた父さんやおじさんたちがようやく広場にやってきた。


「無事かアキ?」

「おせーよ親父。 もう全部終わったよ。」

「そうか…よく頑張ったな…おっと」


両親をみて気が抜けたのか、 よろけそうになった僕を支えた父は僕の頭をその大きな手で撫でながら本当によくやった、と褒めた。 なんだか涙が出そうになるくらい嬉しかった。 向こうではエミリアが両親に抱きついて泣いている。

僕も母さんに飛びついてただいま!と叫んだのだった。

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