第7話 どうしてこうなっちゃったかなぁ

エミリア視点

「フレイヤ姫様、お下がりください!あまり前に出られては危険です。ここは私たちにお任せを」


「しかし…着いてきてくれた皆を見捨てるわけにはいきません。わたくしはシグナルド皇国の皇女なのですから」


そう言って私の隣にいる銀髪のお姫様は左手を前にかざして呪文を唱え風の刃を空中に形成して敵影に解き放つ。

きれいな人だな…その横顔に一瞬見惚れてしまった。


「エミリア殿、ここはいったん撤収して態勢を立て直しましょう。どこか手頃な場所はありませんか?」


そう私に聞いてきたのはこのフレイヤ様の筆頭側仕えのアリアさんだ。

ここまで血路を切り開いてきたせいか、だいぶ疲れているようにみえるが目は死んでいない。凛とした意志を感じる背の高い女丈夫という感じを受ける。


「そうですね…それならあの右手の森を抜けた先に狩猟用の山小屋があったはずです。山側からは見えづらい場所なので追手を撒いたらそこでいったん休息をとってはどうでしょうか?皆さんもだいぶ消耗しておられるようですし」


そう言った私に対してかたじけない、とアリアさんは頷いた。

どうしてこうなっちゃったかな…

確かにお母さんやアキから猪突猛進だとか考えなしに行動するなとか言われてたけど…。



わたしが朝ご飯の後、お母さんに頼まれて村はずれのダリアお婆ちゃんに薬をもっていったときのことだ。普段は付近に民家もなく静かな場所のはずなのに、なんだかざわざわしてるように感じたのだ。

モンスターなども生息しているため危ないので普段はひとりでは行かないのだけど、少し気になって裏手の山のほうに近づいてみると徐々に喧噪が大きくなっていき、人が争っている声が聞こえてきた。

恐怖を押し殺しながらこっそり木影から覗いてみると見慣れない軍服を着た男たちがとても綺麗な女の人に襲い掛かろうとしたのがみえて、思わず火魔法がレベル2にあがって覚えた範囲魔法(ファイアロンド)を背後からぶっ放しちゃったのよね…。

(ちなみに一週間でレベル2にあがるなんてうちの娘は天才だ!とお母さんとお父さんには言われました。えっへん)

後は気づいたらあれよあれよと一緒に追われることになっちゃった。

アリアさんやフレイヤ様には感謝されたり巻き込んでしまって申し訳ないとかいろいろ言われたけど…でも困った人を見捨てないってのはシュバイツァー家の家訓だから!

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