第18話 追い詰められた決意

夜も更け、家の中は静まり返っていた。子供たちはすでに寝静まり、直人も疲れ果ててベッドに入っていた。しかし、私の心は不安と恐怖で休まることはなかった。警察の捜査が進むにつれ、私の行動が次第に注目され、追い詰められていくのを感じていた。


リビングのソファに座り、私は考え込んでいた。直人の視線には以前のような信頼が消え、疑念が浮かび始めていた。それだけでなく、結衣の死に関する新たな証拠が次々と出てきている。このままでは全てが明らかになり、私の罪が暴かれてしまうかもしれない。


そして、もう一つの問題が頭を離れなかった。私の次男、翔太を財閥の跡取りにするためには、結衣の息子である健太が大きな障害となる。健太がいる限り、翔太の未来は保証されない。健太は7歳、賢くて素直な子だが、私の計画の中では存在自体が脅威となっていた。


「どうすればいい…?」私はつぶやき、頭を抱えた。健太を排除することで翔太を守り、直人と共に財閥の未来を築くことができる。しかし、それは許されることなのか。


その時、ふと健太の寝顔が脳裏に浮かんだ。彼の純粋な笑顔と無邪気な瞳。それを思うと、胸が痛んだ。しかし、私は自分の計画を進めるために冷静さを取り戻す必要があった。


私は立ち上がり、子供たちの部屋に向かった。ドアを静かに開け、健太と翔太が並んで寝ているのを見つめた。健太の寝顔は安らかで、何の疑いも持たずに眠っている。その姿を見て、私は心の中で葛藤を繰り返した。


「健太、ごめんね。でも、翔太の未来を守るためには…」私は小さな声でつぶやき、決意を固めた。


次の日、私は慎重に計画を練り始めた。健太を排除するための方法を考えながら、直人や警察に怪しまれないようにするにはどうすればいいか。私の心は罪悪感と冷酷さの間で揺れ動いていた。


追い詰められた美香は、次第に冷酷な決意を固め、計画を実行に移す準備を始める。彼女の心の闇は深まり、家庭内の緊張は一層高まっていく。

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