第15話 平和な家庭の始まり

朝の日差しがカーテン越しに差し込み、部屋を柔らかく照らしている。ベッドの隣で、直人が静かに寝息を立てているのが聞こえる。私はそっとベッドから抜け出し、子供たちの部屋に向かった。


ドアを開けると、直人と結衣の間の長男、健太がまだ寝ているのが見えた。彼は7歳になり、最近では小学校での出来事を嬉しそうに話してくれる。次男の翔太は4歳で、無邪気な笑顔が私たちの癒しだ。私はそっと二人の寝顔を見つめ、幸せな気持ちに包まれた。


「おはよう、健太。もう朝よ。」私は健太の肩を優しく揺すりながら起こした。


「おはよう、ママ。」健太は目をこすりながら起き上がり、にっこりと微笑んだ。


「おはよう、翔太。今日は何して遊ぶ?」私は翔太の小さな手を取りながら言った。


「ブロックでお城作るの!」翔太は嬉しそうに答えた。


キッチンに戻ると、直人が起きてきていた。彼はコーヒーメーカーの前でコーヒーを淹れている。


「おはよう、美香。今日はどうする?」直人はカップを私に差し出しながら言った。


「おはよう、直人。今日は子供たちと公園に行こうと思ってるわ。その後は夕食の準備をしなきゃね。」私はカップを受け取り、感謝の笑みを浮かべた。


「それはいいね。僕も少し仕事があるけど、終わったら合流するよ。」直人は優しく微笑んだ。


朝食の準備をしながら、私はふと5年前の出来事を思い出した。結衣の死と、その後に続いた混乱。あの時は本当に辛かった。でも、今はこうして家族としての絆を感じながら幸せな日々を過ごしている。


「ねえ、直人。私たち、こうして幸せに暮らせているのが奇跡みたいに感じるわ。」私はふとつぶやいた。


「そうだね。いろんなことがあったけど、美香がいてくれるからこそ、僕たちはここまで来られたんだ。」直人は私の手を握りしめ、真剣な眼差しで言った。


その日、公園での時間はあっという間に過ぎた。健太と翔太が遊具で楽しそうに遊ぶ姿を見ていると、時間が経つのも忘れてしまう。夕方、直人も仕事を終えて公園に合流し、家族全員で笑顔のひと時を過ごした。


夜になり、子供たちが寝静まった後、私は直人の隣で静かにコーヒーを飲んでいた。突然、直人が思い出したように言った。


「そういえば、美香。明日、警察が来るって言ってたんだ。何か新しい情報があるらしい。」


「警察が?何の件かしら?」私は驚きと不安を感じながら尋ねた。


「結衣の死についてのことだと思う。自殺じゃなくて、他殺の可能性があるって話だ。」直人の顔には深い憂いが浮かんでいた。


その言葉を聞いた瞬間、私の心臓が一瞬止まったように感じた。結衣の死が再び問題になるとは思ってもいなかった。これからどうなるのか、私は不安と恐怖に包まれながらも、直人と共に真実を追求する決意を新たにした。


私たちの平穏な生活が揺るがされる中、過去の真実が明らかになる日は近づいていた。

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