第7話 逆転の策略

取締役会での隆二さんの拘束後、私たちは急いで次の一手を打つために動き出した。警察が隆二さんの不正行為の調査を進める間、私たちも彼の裏にいる黒幕を暴くための証拠集めに奔走する必要があった。直人さん、美里さん、そして私は会議室に集まり、作戦会議を始めた。


「隆二さんの計画が崩れた今、次は彼の背後にいる黒幕を探る必要があります。」直人さんが口火を切った。


「美香さん、美里さん、あなたたちの協力が必要です。次のステップは、隆二さんが密かに接触していた人物たちのリストを確認し、その中から黒幕を探し出すことです。」関田さんが提案した。


「美里さん、私たちが必要な情報を持っているのはあなたです。リストにある名前を一緒に確認しましょう。」私は美里さんに向かって言った。


その夜、私たちは美里さんのアパートに集まり、彼女が持っていたリストを詳しく調べた。部屋は静かで、私たちの集中力が一層高まっていた。美里さんがパソコンを操作し、リストを画面に表示する。


「この中の誰かが黒幕である可能性があります。特に、最近頻繁に接触していた人物に注目しましょう。」美里さんが言った。


私たちはリストにある名前を一つ一つ確認しながら、その人物の背景や取引内容を調べた。リストには多くの名前があったが、いくつかの名前が特に怪しいと感じられた。


「この人、佐々木誠。彼は若手取締役でありながら、最近急速に台頭してきた人物です。」私はリストの一つの名前を指さしながら言った。


「確かに、彼の動きは怪しいですね。」直人さんが頷いた。「彼が何か重要な情報を持っているかもしれません。」


「それに、この人も怪しいです。」美里さんが別の名前を指さした。「パク・ミンジュン、韓国からの投資家です。最近、隆二さんと頻繁に会っていました。」


「パク・ミンジュン…彼とは過去に関わりがありました。」私は心の中で苦い思い出が蘇るのを感じながら答えた。「彼が隆二さんとどのように関わっているのか、調べる必要があります。」


翌日、私たちは佐々木誠とパク・ミンジュンの動きを追跡することにした。直人さんは佐々木の行動を監視し、私はパク・ミンジュンに接触することになった。美里さんは情報の収集と整理を担当することにした。


その夕方、私はパク・ミンジュンが頻繁に訪れるというカフェに向かった。カフェに入ると、ミンジュンが一人で座っているのが見えた。心の中で深呼吸し、彼に近づいた。


「ミンジュン、久しぶりね。」私はできるだけ自然に話しかけた。


彼は驚いた表情を浮かべたが、すぐに微笑んで答えた。「美香、こんなところで会うとは思わなかったよ。どうしてここに?」


「少し話がしたくてね。最近のこと、色々と聞きたいことがあるの。」私は慎重に言葉を選びながら答えた。


ミンジュンは私の提案を受け入れ、二人で話し始めた。彼は私に対して警戒心を抱いていないようだったが、私は彼の本当の意図を探るために注意深く話を進めた。


「ミンジュン、隆二さんとはどういう関係なの?」私は直球の質問を投げかけた。


彼は一瞬考えた後、答えた。「ビジネスパートナーだよ。彼とはいくつかのプロジェクトで協力している。でも、最近の状況がどうなっているのかはよく知らない。」


「そう…でも、何か気になることはない?隆二さんが密かに進めている計画とか。」私はさらに突っ込んだ。


ミンジュンはしばらく沈黙した後、重い口を開いた。「実は…彼が関与しているあるプロジェクトが怪しいと感じている。彼が何か大きな計画を進めているのは確かだ。でも、その詳細は知らない。」


私は彼の言葉に何か重要な手がかりを感じた。「そのプロジェクトについて、もっと詳しく教えてくれる?」


「いいだろう。君には話しておくべきかもしれない。」ミンジュンは慎重に話し始めた。「そのプロジェクトは、財閥の資金を不正に利用している可能性がある。私はそのことを調べていたが、証拠をつかむのは難しい。」


その夜、私はミンジュンから得た情報を直人さんと美里さんに伝え、次の計画を練ることにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る