第8話 追跡と決闘

私たちは次の一手を打つための計画を練っていた。関田さん、美里さん、そして私、そしてもちろん直人さんも、全員がこの作戦に全力を注いでいた。


「佐々木誠とパク・ミンジュンが今日、ホテルで会合を開くという情報を掴みました。これが私たちのチャンスです。」関田さんが真剣な表情で言った。


「私と直人さんで会合に潜入し、彼らの会話を盗聴します。そこから黒幕の正体を突き止めます。」私は決意を固めて言った。


直人さんが私の手を握り、「美香、一緒に頑張ろう。君がいてくれると心強い。」と優しく言った。その言葉に、私は勇気をもらった。


その夜、私と直人さんは変装し、ホテルの会議室に潜入した。ホテルの廊下を歩きながら、心臓が激しく鼓動するのを感じた。会場に入ると、佐々木誠とパク・ミンジュンがすでに話し合っているのが見えた。私たちは隅の席に座り、盗聴器をセットした。


「佐々木、計画は順調か?」パク・ミンジュンの低い声が盗聴器を通して聞こえてきた。


「もちろんだ、ミンジュン。結衣が全てを仕切っているから、うまくいっている。」佐々木が答えた。


その瞬間、私は息を飲んだ。結衣が黒幕だったとは信じられなかった。直人さんも驚いた顔をしていたが、すぐに冷静さを取り戻した。


「結衣は直人に気づかれないように巧妙に動いている。彼女の計画が成功すれば、財閥の支配は我々のものだ。」ミンジュンが続けた。


「そうか、結衣には本当に感謝している。彼女がいなければ、ここまで来られなかった。」佐々木が言った。


私たちはその会話を全て録音し、証拠を掴んだ。だが、その瞬間、何者かに気づかれた。


「おい、あそこに誰かいるぞ!」警戒する声が上がり、部屋の全員がこちらに注目した。


直人さんと私は急いで会場を後にし、ホテルの廊下を駆け抜けた。追っ手が迫る中、心臓が爆発しそうなほどの緊張感が全身を包んだ。


「美香、こっちだ!」直人さんが手を引いて、非常階段へと導いた。


階段を駆け下りると、直人さんが足を滑らせて倒れ込んだ。「直人さん、大丈夫?」私は彼を支え起こした。


「大丈夫だ、美香。急ごう。」彼の額には汗が浮かび、足を引きずりながらも立ち上がった。


私たちは必死で非常口を探し、ようやく外に出た。冷たい夜風が私たちの顔に当たり、少しだけ緊張がほぐれた。急いで車に飛び乗り、エンジンをかけた。


「証拠を持ち帰ることができたね、これで結衣を追い詰めることができる。」直人さんが息を切らしながら言った。


「うん、でも油断は禁物よ。彼らが次に何を仕掛けてくるか分からない。」私はバックミラーで後方を確認しながら答えた。


隠れ家に戻ると、関田さんと美里さんが待っていた。私たちはすぐに証拠を確認し、次の計画を立てるための作戦会議を始めた。


「美香さん、直人さん、お疲れ様でした。これで結衣の陰謀を暴くための決定的な証拠が揃いました。」関田さんが言った。


「ありがとう、関田さん。これで財閥を守るための一歩を踏み出せます。」直人さんが感謝の意を込めて言った。


その夜、私たちは次のステップを練り、結衣の陰謀を完全に暴くための準備を進めた。

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