第5話 新たな展開
翌朝、私たちは関田さんと一緒に、隆二の不正を暴くための具体的な計画を立てることにした。昨夜の出来事が頭をよぎるが、私は今は冷静さを保たなければならないと自分に言い聞かせる。直人さんも同じ気持ちであることが、彼の真剣な表情からわかる。
「まずは、隆二さんの秘書である田中美里さんから情報を引き出す必要があります。」関田さんが言った。
「美里さんは私たちの重要な鍵ですね。彼女が隆二さんの計画を詳しく知っている可能性があります。」私は頷きながら答えた。
「美香、君に彼女に近づいてもらうのが一番だと思う。」直人さんが私の方を見て提案した。
「わかりました。彼女に接触して、情報を引き出してみます。」私は決意を固めた。
その日の午後、私は美里さんの住むアパートへ向かった。彼女とは何度か顔を合わせたことがあるが、親しい関係ではない。しかし、今回は彼女に近づき、信頼を得る必要があった。
アパートのドアをノックすると、美里さんがドアを開けてくれた。彼女は驚いた表情を浮かべたが、すぐに笑顔で迎えてくれた。
「美香さん、どうしたの?突然訪ねてきてくれて嬉しいわ。」美里さんが言った。
「美里さん、少し話がしたくて…お邪魔してもいいですか?」私は微笑んで答えた。
「もちろん、どうぞ。」彼女は私を部屋に招き入れた。
リビングに通され、私はソファに座った。美里さんがコーヒーを淹れてくれる間、私は彼女の動きを観察しながら、どうやって話を切り出すかを考えた。
「最近、仕事のことで色々と悩んでいて…」私は話を始めた。「美里さんに相談できたらと思って。」
「私でよければ、何でも聞くわ。」美里さんがコーヒーを私に手渡しながら答えた。
「実は、隆二さんのことで…彼の行動が少し気になっているんです。最近、何か変わったことはありませんでしたか?」私は慎重に質問した。
美里さんは一瞬戸惑ったように見えたが、やがて口を開いた。「実は、私も気になっていたの。最近、彼が極秘に進めているプロジェクトがあって、その内容がどうにも怪しいのよ。」
「そのプロジェクトについて、何か詳しく知っていることはありますか?」私は興味を示しながら尋ねた。
「うん、いくつかの取引先と不自然なやり取りがあって、その書類を見たことがあるの。」美里さんは少し緊張しながら答えた。
「その書類、私たちに見せてもらえますか?」私は真剣な表情で彼女を見つめた。
美里さんはしばらく考えた後、ゆっくりと頷いた。「わかった、信じるわ。待ってて。」
彼女は部屋の奥に入り、しばらくしてから数枚の書類を持って戻ってきた。私はその書類を受け取り、内容を確認した。そこには、隆二さんが関与している不正取引の詳細が記されていた。
「美里さん、これは本当に助かります。ありがとうございます。」私は感謝の気持ちを込めて彼女に言った。
「美香さん、私も協力するわ。隆二さんの計画を止めるために、私にできることがあれば何でも言って。」美里さんの決意が伝わってきた。
その夜、私は直人さんと関田さんに集めた情報を報告し、次の計画を立てることになった。
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