第37話

 ルアが家を出て、少しだけ休んだ後、私はソファから立ち上がった。

 本当はルアが帰ってくるまでこうやってゆっくり休んでいようと思っていたんだけど、さっきルアが脱いでいた服を思い出して、それを洗っておこうと思ったんだよ。

 だってあれ、私の服だし。


 ……と言うか、今更なんだけど、ルア、普通に自分で買ってきていた服をきて外に出ていったよね。

 昨日、私の服を着る必要なんてやっぱりなかったよね? ……いや、それが分かっていても、あのえっちな下着を見たことはルアの為にも黙っていてあげたいし、言えないんだけどさ。


 もういいや。さっきルアが脱いでいった私の服をさっさと片付けよう。

 わざわざ丁寧に畳んで置いてあるからね。


 そして、私は服を持ってお風呂場までやってきていた。

 もちろんと言うべきか、こんな早い時間だし、別に今からお風呂に入る訳では無い。

 理由としては単純で昨日私が履いていた下着を回収しに来たんだよ。……ちゃんと服と下着を別々に分けていた自身はあるけど、万が一ってことはあるし、その確認でもある。


「……?」


 その結果、私は首を傾げることになった。

 エルフのルアより小さいとはいえ、付けていた上の下着の置いてある場所的に多分、服と下着をちゃんと別々に私は置いていたんだと思う。

 なら、なんで首を傾げてしまったのかというと、上の下着しか無かったからだ。

 ……まさか下着の片方だけを置いて、片方だけあっちの家で洗っていた、なんてことは無いと思うんだけど、それ以外には考えられないし、やっぱり普通に昨日洗ってたのかな?

 確認してみるのが一番早いか。

 ちゃんと探したら、その辺に落ちてるかもしれないけど、それは確認をして、万が一無かった時に探せばいいと思い、森の方の家に転移した。


 グルグルと回る水の中に持ってきた下着を入れたあと、さっきまでルアが着ていた私の服も入れ、私は乾いている昨日洗った服たちに目をやった。

 ……私の服が当然そこにはあった。

 でも、私の昨日履いていた下着だけは無かった。


「……」


 やっぱり、お風呂場のどこかにあるのかな。

 そう思って、私は服を持ちつつお風呂場に戻った。

 そして、次にお風呂に入った時に服をわざわざここに持ってくる必要が無いように、服を置いた。

 

 それから十分くらい下着を探したのだが、見つかることは無かった。

 ……なんで? これだけ探して、見つからないなんてこと、有り得る? 

 仮にここがめちゃくちゃ広い部屋ならともかく、別にそんなに広い部屋なわけじゃないでしょ。

 ルアが持ってる……? ……いや、意味分かんないでしょ。一体なんのために? ってなるし、そんなわけない。

 そもそも、何が目的であったとしても、変態すぎるでしょ。人の……ご主人様の履いていた下着を勝手にどこかに持って行くなんて。触るだけでもおかしいのに。

 

 ……はぁ。

 別に下着なんて私はいつも適当だし、ここに住んでいるのが私一人なら問題なんて何も無かったんだけど、ルアに見られるのが嫌な以上、いきなりどこかから出てきて、その時に見られることになる、みたいなことになって欲しくないから、もう少し探してみるか。

 それでも見つからなかったら、一応、ルアにも聞いてみるべきかな。……それで知ってたら知ってたでかなり羞恥心が煽られるけど、もうこの際仕方ない。

 その場合はルアに舐められないよう、顔に出さないように我慢して、さっさと片付けよう。

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