第29話
「ご、ご主人様、今戻りました」
リビングのソファで横になってくつろいでいると、そう言ってルアが戻ってきた。
別にルアが……奴隷が戻ってきたことなんてどうでもいいし、特に何かを言うつもりは無かったんだけど、そんな奴隷の姿を見た私は思わず口を開いていてしまっていた。
「……なんで下着、着けてないの? ……買ってきてた、よね」
だって、ルアは今、ルアにとっては小さい私の服を着ているから、胸が主張されているんだよ。
だからこそ、直ぐに下着を着けていないことが分かった。……分かってしまった。
下は流石に見えないから分からないけど、もしかして、下も履いてなかったりするのかな。……何か、そういうのに目覚めちゃったのかな。
……私の所有物なんだから、あんまり恥ずかしい真似はしないで欲しいんだけど、ルアをそういう趣味に目覚めさせちゃったのは私も少しは悪いと思うし、否定はしないであげよう。
「え、あ、えっと、わ、忘れちゃって……あ、あんまり見ないでください」
私がそう思っていると、ルアは顔を真っ赤にしながら恥ずかしそうに私にそう言ってきた。
……見ないでって、別に私だって見たくて見た訳じゃないよ。
ルアが勝手に視界に入ってきたんでしょ。
本当に見られたくなかったのなら、一秒でも早く自分の部屋に戻って下着を着ければ良かっただけの話でしょ。
……少し考えただけでもこんな考えに行き着くんだし、やっぱりルアはそういう趣味に目覚めてしまっていて意図的に私に見せつけてきてたのかな。
……今思えば、あんなえっちな下着を買ってきてたのもそういう趣味に目覚めてたからなのかな。
……ん? あれ、そういえば、ルアって本当に服を持ってないんだっけ? えっちな下着に気を取られすぎて忘れてたけど、あの時、私が持ってる服より可愛い服を見たんじゃなかったっけ。
……いや、でも、だとしたら意味が分からなくなるけど。
だって服を買ってきてたんだとしたら、あの時私の言葉をルアは否定して「自分の服を着ます」って一言言えば良かっただけの話になっちゃうじゃん。
「……ルア──」
ルアが服を買ってきていた、という事実を思い出してしまった私は、なんであの時言わなかったのかを訪ねようとしたところで、やめた。
だって、よく考えたら、服のことを言ってしまえば、あのえっちな下着も見てしまったと白状するようなものになってしまうから。
そういう趣味で買ってきてたんだとしても、あれがご主人様である私にバレるのはかなり恥ずかしいと思うし、言えない。言えなくなってしまった。
……まぁ、どうせ服は明日には洗うんだし、別にいいか。
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