第26話
あっ、ここ、こうした方がもっと効果が良くなるかも。
なんでかは分からないけど、驚く程にリラックス出来ている私は昔には気が付かなかった欠点に気がつくことが出来た。
……それはいいけど、なんでこんなに心が穏やかでリラックス出来てるんだろう。
こうやって魔法を弄ってると気は紛れるし暇も潰せるし楽しいんだけど、いつもだったらそろそろ嫌なこととかも思い出しちゃったりして気持ちも嫌な感じになってくるのに、今は全然そんな感じじゃない。
……なんでなんだろ。
んー、考えても分からないし、もういいや。
別に私に不都合なことがある訳じゃないんだから。
「ご主人様、それはどんな魔法なんですか?」
そう結論づけて、私は魔法陣を弄る作業に戻ろうとしたところで、ルアがそんなことを聞いてきた。
いつもだったら誰かに魔法のことを教えるのなんて絶対嫌だけど、まぁ、ルアは奴隷で私の所有物だし、別にいいかな。
気分もいいし。
「……転移魔法」
「えぇ!? これが転移魔法の魔法陣なんですか!?」
「……そう」
反応が大きくてちょっとうるさいけど、今の時代に転移魔法を使える人なんて中々いないし、今回は大目に見てあげよう。
私だって最初あのお姉さんに教えて貰った時はは……いや、もうそのことはいいや。
「さっき何か弄っていましたけど、何か変わったんですか?」
「……使う魔力量を下げた」
「えぇ! 凄いですね! ご主人様」
「……別に、そんなことないでしょ」
「そんなことありますよ! 私のご主人様は凄いです!」
……口では謙遜なんてしたけど、私の魔法が凄いことくらい知ってる。
でも、改めて誰かに……相手は物ではあるけど、それでもこれだけ褒められたのは久しぶり……いや、初めてで照れてしまう。
「……そう。……もう集中するから、静かにしてて」
だからこそ、そう言った。
「はい、分かりました。静かにして見てますね」
「……好きにして」
そう言うと、ルアが横から私の腰に手を回してきながら、私が弄っている魔法陣を覗き込んできた。
……魔法陣を覗き込んでくるのはいいけど、抱きついてくる必要は無いでしょ。
……まぁ、さっきちゃんと奴隷としてご主人様を褒めてくれたし、特別に今は何も言わないでおいてあげようかな。
さっきも思った通り、今は気分もいいしね。
そうしていると、いつの間にか辺りが暗くなってきていた。
それを確認した私は、ルアの方に視線を向けた。
すると、ルアと目が合った。
……この子、私が魔法陣を弄ってる間私に抱きついてきながらではあるけど、本当にちゃんとずっと途中で眠ったりせずに見てたんだ。
……まぁ、さっきまで寝てたのを考えたら、当たり前か。
「ご主人様?」
突然目が合ったからか、ルアは不思議そうに首を傾げながら私のことを呼んできた。
「……そろそろ、私はお風呂に入るから」
「私も一緒にですか?」
「……そんなわけ無い、でしょ。……ルアは私の後だから」
「……はい」
そういえば、この家のお風呂はどんな感じなんだろ。
早く見に行ってお風呂に入っちゃお。
どうせ私の魔法で直ぐにお風呂は沸かせるしね。
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