第25話

 奴隷の癖に生意気にも頭を撫でてくれているご主人様に文句を言ってきていたルアだったけど、それは口だけで、体は素直に受け入れていた。

 ……やっぱり、子供じゃん。

 別に私は子供が欲しいとか一度も思ったことなんてないけど、ちょっと可愛いかもしれない。

 相変わらず子供が欲しいなんて思いはしないけど。


 そんなことを思いながらも、ルアの頭を撫で続けていると、ルアは寝起きだからかまだ眠たそうに瞼を重そうにして、顔を赤くしつつ私を上目遣いに見上げてきていた。

 この子はどれだけ寝る気なの。

 子供って考えたら良く寝た方がいいのかもだけど、それにしても寝すぎでしょ。

 会話もできない年齢って訳じゃないんだから。

 ……まぁ、抱き枕の時以外は好きにしていいって言ってあるし、別にいいんだけどさ。


「……ん、もう終わりね」


 寝る分には好きにしたらいいと思うけど、もう私のご褒美は終わりだ。

 そう思って、私はそう言った。


「ぇ、ぁ、ご主人様……もう、終わりですか?」


 すると、ルアは名残惜しそうに上目遣いのままそう聞いてきた。


「……もう十分ご褒美は与えたでしょ。……またご褒美が欲しいのなら、私の機嫌を損ねないで私の言うことをさっきみたいに聞くこと。……私の役に立ってくれるのでもいいよ」


 ご褒美をチラつかせれば、もう勝手にあんなことをされたりなんてしないと思って、私はそう言った。


「いつも抱き枕になってますよ?」


「……それはルアがするべき当たり前の仕事でしょ」


 さっきご褒美をあげた理由の悪いことをしたら謝るってことだって当たり前の事なんだけど、ルアが私の抱き枕になるのはもっと当たり前のことなんだから、そんなことでご褒美をあげたりなんてしないよ。


「はい。それはそうなんですけど……」


「……とにかく、もう終わりだから、寝るなら一人で勝手に寝てね」


「……はい。……でも、もう寝ませんから」


「……そう」


 別にルアが寝ようが寝まいがどっちでもいいし、適当にそんな返事をして、ルアから少し離れてソファに座った。

 すると、せっかく離れた距離を縮めて、ルアが隣に座ってきた。

 ……別にそれくらいなら、私が言った好きにしていいって命令の範疇に入ってるからいいけど、外に出たりしないのかな。

 お金はさっき渡した分があるし、外で何かをして過ごすことだってルアならできるだろうに。

 まぁいいや。

 ルアなんて放っておいて、私は私で久しぶりに魔法の研究でもしようかな。

 私は自分で言うのもなんだけど、最強クラスに強い。

 だから、別に今更魔法の研究なんて必要無いんだけど、暇だしね。


 そう思って、私は目の前に魔法陣を映し出して色々と弄り始めた。

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