第22話
「帰りましたよ、ご主人様」
取り出したソファで適当にくつろいでルアが帰ってくるのを待っていると、玄関の方から扉が開く音とほぼ同時にルアのそんな声が聞こえてきた。
「………………おかえり」
相手は奴隷なんだし、別に何も言わなくてもいいかとも思ったけど、返事が無かったらルアが悲しむかと思って、私は悩みに悩んだ結果、小さくそう言った。
「ご主人様、何か言いましたか?」
すると、そう言った私の声がいつもより小さかったからか、ルアは私がソファに座って寛いでいる部屋に戻ってくるなりそう言ってきた。
「……別に」
別に奴隷が悲しもうがどうでもいいし、聞こえてなかったのなら聞こえてなかったで良いかな、と思ってそう言った。
そもそも、ご主人様の話を聞いてない奴隷が悪いし。
「はい、ただいまです」
「…………聞こえてるじゃん」
「私がご主人様の言葉を聞き逃す訳がないですよ。だからあんまり拗ねないでください、ご主人様」
「……拗ねてない」
確かに聞こえてたのに聞こえてなかった振りをしてきてたのは腹が立つけど、わざわざ私が拗ねる意味が分からないし。
「そうですか?」
「……ん。当たり前、でしょ」
冗談だとしても、ご主人様に対する言動じゃないでしょ。
また昨日みたいに辱められたいのかな。
一応言っておくけど、私は本当にするよ。
……と言うか、今更だけど、ルアの服が変わってる。ちゃんとサイズの合ったやつになってる。
それはいいんだけど、なら、貸してた私の服はどこに置いたんだろ。
「でしたら、そういうことにしておきますね」
「……そういうことにしておく、とかじゃなくて、本当に──」
「ご主人様、朝食、これで良かったですか?」
……昨日あんなに辱めたのに、ルアはまだ私のことを舐めてるのかな。
……まぁ、お腹が空いてるのは事実だし、今はいいや。ルアが買ってきてくれた朝食を確認しよう。
「……ん。大丈夫」
確認すると、そこには私が言った通りの串焼きがあった。
朝からお肉はちょっと重いかもだけど、野菜とかも一応一緒に刺さってるし、大丈夫だよね。
「……机とか椅子、出しといたから。……そっちで食べよ」
「はい、ご主人様」
そう言って、ルアと一緒に机の前に移動して、ちゃんとルアは私の対面に座らせた。なんか隣に座ろうとしてきてたから。
「……椅子、移動させちゃダメですか?」
「……こっち以外なら好きにしたら」
「うぅ、それでしたら、やめておきます」
「……そう。……なら、早く食べよ」
「……はい」
そんなやり取りをして、私たちは朝食を食べ始めた。
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