第21話
「ご、ご主人様、置いてきました」
「……そう」
……後でルアの部屋にもベッドとかタンスを置いておいてあげようかな。
タンスはさっきの服とかを仕舞うようで、ベッドはもちろん寝るようで。
まぁ、基本的にルアは抱き枕として私と一緒に寝るからあまりベッドを使うことは無いだろうけど、私が起きた後にまだ寝足りない時とかがあったら、自分の部屋で眠ってもらえるしね。
今更だけどよく考えたらご主人様のベッドに奴隷が一人で眠ってるのはおかしいと思うし。
「……はい、これ」
「えっと、これは?」
「……お金」
さっきも渡したんだから、分かるでしょ、と思いながらも、私はわざわざそう言ってあげた。
「そ、それは分かりますけど、また私を一人でどこかに行かせる気ですか?」
「……そう。朝食、買ってきて」
「ご主人様は来てくれないんですか?」
「……行くわけないでしょ。なんでもいいから、早く行ってきて。……その後は一番最初に言った通り好きにしてくれたらいいから」
「え? あ、は、はい! で、でしたら、行ってきますね!」
「……ん。……あ、串焼きとかにしてね」
「はい!」
何故かルアは急に元気になって、私が渡したお金を持って家を出ていった。
なんで急にあんなに元気になったんだろ。
奴隷としての立場を急に理解したのかな。
……ん? あれ、そういえば、さっき最初に言った通り好きにしたらいいって言ったけど、ちゃんと意味、伝わってるよね? まさかこの前みたいに私のことを好きにしていい、なんて訳の分からない捉え方なんてしてないよね?
まぁ、流石にしてないか。
この前、ちゃんと言ったもんね。
……大丈夫、なはず。
そもそも、仮にルアが訳の分からない捉え方をしてたとしても、あの時は油断してたからあんなことになっただけであって、油断さえしてなければあんなことにならないんだよ。
あの時はあんなことをされると思ってなくて、ただ私を害そうとしてるだけで、私の魔法で自動的に反撃されてルアは死ぬと思ってたし。
大丈夫だと思うし、考えても仕方の無いことだし、私は私でさっさと別の家具も色々と置いてしまおうと思って、一旦ルアのことは忘れて立ち上がった。
そして、適当にではあるけど、必要な家具を置き始めた。
こんなものかな。
……出しただけだけど、疲れた。
はぁ。私はずっとあの家で暮らすのでも良かったのに、なんで奴隷の為にこんな疲れることをしなくちゃいけないのって思うけど、わざわざ本当に嫌なのに人と関わったりしてまで家を買ったりしてる時点で今更か。
お腹も空いたし、ルア、早く帰ってこないかな。
もうこっちは終わったし、いつでも帰ってきてくれていいんだけど。
そう思いつつ、私はルアが帰ってくるのを待った。
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