第13話

 まぁ、ルアが不安にしてても、私には関係ないし、どうでもいいと思って、私はそのままソファでゴロゴロしながら明日が来ないで欲しいなぁ、と思いながら過ごした。

 その間、なんだかんだ言いつつ、ルアは私の隣にいた。

 



「ご主人様、眠たいんですか?」


 しばらくすると、私も私でルアがいるとはいえ、絶対に人と関わらなくちゃならない明日が来るのが不安で色々と考えてしまっていて、いつの間にか眠たくなってきてしまい、首をこっくりこっくりとしていると、ルアが突然横から優しい声色でそう聞いてきた。

 

「……別に、眠くない」


 私が自分から眠いから抱き枕になれ、と言うのならともかく、奴隷であるルアの方から、割とまだ起きてから時間もあまり経っていないのに眠いのかと聞かれて眠いと言うのは、なんか、嫌だったから、私はそう言った。

 ただでさえ舐められてるのに、余計に舐められるかもしれないし。

 ……子供みたい、って感じに。

 ルアはエルフだから一概には言えないけど、見た目的に私の方が絶対ルアより生きてるのに、そんなことを奴隷なんかに思われるなんて屈辱がすぎるし。


「? ほんとですか? 眠たそうにしてましたけど」


「……嘘なんてつかない。……ほんとはルアが眠たいだけなんじゃないの」


「私はまだ眠たくなんてないので、大丈夫ですよ」


 ……本当は私が眠たいからか、多分そんなつもりなんてないんだろうけど、ルアの言葉が嫌味に聞こえてしまう。

 

「……そう」


 嘘でも眠たいと言ってくれていれば、ルアを連れてベッドに向かっていってたのに。……私が眠たいから。


「ご主人様、やっぱり眠たいんじゃないですか?」


「……眠たくなんてないって言ってる」


「そうですか?」


「……うん」


 しつこいルアに私は重たい瞼を何とか下ろさないようにしながら、そう言った。

 すると、何を思ったのか、ルアは奴隷の身分であるにもかかわらず、ご主人様である私の頭をいきなり撫でてきた。


「……何、してる」


「ご主人様の頭を撫でています」


「……そんなの、見たら分かる。なんで、そんなこと、してる」


「ご主人様が可愛かったので、つい」


「ッ……やめて。私はご主人様。あなたは奴隷。意味、分かるでしょ」


 頭を振りながら、頭の上にあったルアの手を退け、私はそう言った。

 

「はい。でも、ご主人様が最初に好きにしていいと仰ってくれたので」


「……それはそう、だけど、私を好きにしていいわけじゃない」


「ご主人様が可愛かったので、ついです」


「ッ……変なこと、言わないで」


「変な事じゃなく、事実です」


 ……話にならない。


「……もういい。次、同じようなことをしたら怒るから」


「嫌だったんですか?」


「……奴隷に頭なんて撫でられて、嬉しいと感じるわけない、でしょ。……そもそも、自分の格好を見て。そんな変態みたいな格好をした奴隷なら、尚更、だよ」


「こ、これはご主人様が用意したものじゃないですか! ご主人様の服を着れるのは嬉しいですけど、好きでこんな格好をしてる訳じゃないですよ!」


 私がそう言うと、ルアは自分の格好を改めて思い出したのか、耳の先まで顔を真っ赤にして、恥ずかしがっていた。

 私にあんなことするからだよ。

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