第11話
「……ご、ご主人様、も、戻りました」
もうそろそろルアが戻ってくる。
そう思いながら、ソファで適当にくつろいでいると、そんな声と共にルアが戻ってきた。
その声に反応して、私はルアの方向に顔を向けた。
すると、そこには顔を真っ赤にしているルアが恥ずかしそうに立っていた。
……もしも逆の立場だったら、私も同じようになってたと思う。
だって、ルアは私の服だからこそ少し小さいみたいで、下着をつけてないのに胸が強調されてしまっているし、スカートの下は見えないけど、そっちも下は何も履いてないんだから、恥ずかしいに決まってる。
「あ、あの、な、なんで今日はスカートなんですか?」
そんなことを思っていると、ルアは本当に恥ずかしそうにそう聞いてきた。
そこにはさっきまでの生意気な奴隷の姿は全く無く、選択肢の無い状況で仕方なく恥ずかしい格好をさせられて、顔を真っ赤にしている奴隷の姿しか無かった。
「……自業自得ってやつ」
奴隷のくせに私にあんなことをしたんだから、当たり前でしょ。
私のことを舐めて何も仕返しをされないなんて思ってたんだとしたら、大間違いなんだから。
「な、なんで自業自得なんですか!?」
……少し考えたら分かるでしょ。
「……自分で考えて」
「わ、分からないですよ」
「……そう。……分からなくても、どうせ私はそれ以外の着替えなんて出す気は無いし、その格好でいてね」
私の着替えは私が管理してるし、好きにしていいって命令があったとしても、勝手に着替えられることも無いから、ルアはもう諦めてその格好でいるしかないんだよ。
「で、でも……は、恥ずかしい、ですよ……」
「……そう。それも、自業自得」
「うぅ……昨日から、胸だけでもご主人様の服が少し小さくて恥ずかしかったのに、今日は下もスースーします……」
何度も言うけど、自業自得だよ。
……あの時、私の初めてまで奪ってなければ、ここまでは流石に可哀想だと思うし、こんなことしなかったんだから、本当に自業自得だよ。
「……ルア、こっち、来ないの?」
ルアが恥ずかしそうにしていることなんか無視して、私はそう聞いた。
「い、行きます」
あ、来るんだ。
あんな格好だから、恥ずかしくてどうせ来ないと思ってそう聞いたのに。
まぁ、どうせ私が寝る時は抱き枕になってもらうんだし、その時にくっつくことになると思って割り切ったのかな。
そう思っていると、ルアは私の隣にスカートを気にするようにして座ってきた。
そして、やっぱりまだ恥ずかしいのか、お風呂に入る前のようにいきなりくっついてくることは無かった。
「……ほら、こうするんでしょ?」
だから、私は意地の悪い笑みを浮かべながら、ルアに抱きついた。
どうせ物だし、私の奴隷で所有物なんだから、嫌な感情が出てくることなく、抱きつけた。
まぁ、昨日ルアのことを抱き枕にして一緒に眠れたくらいなんだから、当たり前だよね。
「ご、ご主人様……」
「……ルア、あっちに水、置いてあるから、飲んできて」
「……え?」
「……お風呂を上がったばかりなんだから、水分は取った方がいいでしょ。早く」
抱きついたはいいけど、これじゃあルアの羞恥に塗れた顔を見にくいから、私はそう言って、ルアを抱きしめるのをやめた。
「……あっ」
「……早く、行ってきて」
「……は、はい」
すると、私の言っていることが自分を気遣ってくれたものだと思ってくれたのか、ルアは素直に頷いて、恥ずかしそうにスカートを気にしながら、水を飲みに行った。
ふふっ、どうせ今日一日はこの格好でいてもらうんだし、もう意地悪はやめてあげようかな。
私のされたことを考えたら、これでも甘いくらいだと思うけど、私は優しいからね。
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