第3話・TopAbiritySuperPlay

 その後、レンはパルクールレベリングを行った場所に戻ってきた。


「さて武器も買ってない状態。レベルは現在8ステータスは技量と敏捷に割り振った。あぁ、耐久系は振るつもりないからね。最終装備は鎌系にするヴォーパルビルドにしようと思ってる」


 彼のステータスは現時点でこうだった。

――――――――――――

Lv8

生命力1 HP8/30

集中力1 MP30/30

体力1 スタミナ30/30

筋力1

技量15

敏捷15

知力1

耐久1

――――――――――――――


 そう、オールボーナスの育成ではレベルを上げるごとに初期でも4ポイントのステータスポイントを獲得できる。

 なお、HPが減っているのは木にぶつかったからであり。その減少幅が大きいのはぶつかった時のダメージ処理がクリティカルだったからである。そう、ぶつかり方が悪かったのだ。


スノウ:このステータス! カウンター狙い?

アルバこぁ:一撃食らったら死ぬけど……無茶じゃない?


「無茶じゃないよ。僕は強いからね!」


 その時であった、満身創痍の狼型の魔物はレンを視界に収め、身をかがめた。


「飛びかかりの一番攻撃力の高い攻撃を誘発します。手をグッと首にぶつけ、相手からダメージを受けません。します、させます、させませんだ!」


 レンはモンスターに対しては徹底してそれだった。自分はやりたい行動をし、相手にはさせたい行動をさせ。させたくない行動は一切させない。まるで、世界がレンに味方しているかのようだった。対モンスターだけは。


「簡単でしょ?」

 ただし、狼型とのレベル8での一騎打ちはプレイヤーならできるものが多い。


朝神:ま、まぁできるけど……

†黒酢†:これまでができないというかなんというか……

おるとロス:やっぱり上手いよね……


「まぁ、これでも最強だったからね。ベータでは……」


 しかし、技量と敏捷に特化した場合。まともなダメージを与えるには素手ではカウンターかつクリティカルでなくてはいけない。それを一発で、無造作に成功させるのはどう見ても人外だった。


ガメオベラ:ひぃ、構えてすらなかったぞ!

エビる:無造作にパリィとか出てきそう。


「じゃあとりあえずこの戦利品で序盤の武器のレイピア系をサーディルで買おうか! 楽しみだなぁ~」


 と、レンは鼻歌交じりだがこれが視聴者を恐怖のどん底に叩き込んだのである。


アルバこぁ:盾は? 亡霊騎士狩りでしょ?


 このウニーカ・レーテにおいて盾は非常に重要だ。相手の攻撃にぶつけることでパリィができる。だが……。


「買わないよ? 素手でパリィできるし」


 寸分の狂いなくダメージを受けない身体操作ができれば不要になるのだ。サーディルのレベリングの定番、亡霊騎士であれば剣を振るう手を弾けば理論上はパリィ可能である。

 ウニーカ・レーテには敵の攻撃パターンというものがない。よって、見て反応して、パリィをするしかない。それも、剣を振るう手を。


朝神:シンプルにぃ! 無茶だよ!

スノウ:無理無理無理! 素手パリィの猶予ってどれだけある?

エビる:たしか、25フレーム……。


 最新のゲームの1フレームは千分の一秒である1ミリ秒である。つまり、素手パリィの受付猶予は0.025秒である。それを見て、反応して、パリィするのは人間業ではないのだ。


「いけるいける! レア個体でも行けるよ!」


 亡霊騎士の剣の切っ先はかけている。だが、レア個体の剣は鋒がかけていないのだ。よって攻撃力が高く、更には突き攻撃モーションがあるだけ攻撃が多彩なのである。

 そんな話をそんな話をしている間にレンは素材の収集を終えてサーディルへの道を走り始めた。


ガメオベラ:やっぱこの人TASさんだ

†黒酢†:TASさんってショタだったんだ……


 TASさん。ゲーマーにとっての最高の称号である。元ネタはツールアシステットスピードラン略してTASである。だがそのツールアシストとは、ゲームをスロー再生したり内部データを見ながらプレイできるチート並みのツールを言う。それがなぜか擬人化されたものがTASさんであり、一節には金髪幼女と言われたりもする。

 そんなTASのSは時折スピードランではなく、スーパープレイになったりする。レンの場合はそのスーパープレイである。


「外部ツールは使ってないからね! そもそもフルダイブ機のエミュレーターは開発は持ってるだろうけど、世には出回ってないし、オンラインゲームだからチート対策もガチガチだろうしね!」


 そう、大体はそのツールというのがエミュレーターに搭載されている機能なのである。

 オンラインのゲームというのはチートなど使われたら一巻の終わりだ。よって、チート対策も万全である。そのためツールのようなものは基本使えない。

 ただし、プレイヤースキルが人力TASであれば対策のしようがないのだ。


ニューラゲーム:あなたのプレイヤースキルがチートなのですけどね……お世話になっております……


「うわ! 公式さん来ちゃった! こちらこそお世話になってます! すごく楽しくゲームさせてもらってます!」


 MMORPGウニーカ・レーテを作ったのはニューラゲームと言う会社である。ニューライフやニューラルといった意味を込めた会社名なのだ。

 この時ばかりは、レンも緊張したのだが、場所が良かった。全く障害物のない場所だったのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る