第58話 謎の襲撃者2

ゴーレムの大軍は津波となってゴーラに襲いかかる。崖崩れの如しそれをゴーラは真正面から

迎え撃つ


バゴォォン!


岩で出来ているゴーレムを菓子のように砕いていく。


石を砕く鋼の音が響き渡る


重厚な鎧ながらも正面でゴーレムを取りこぼさずに打ち砕く


そして、全てのゴーレムは全て土塊となりその場で散乱する


その惨状の中心にいる彼は大きく息を吐き

呼吸を整える


「がぁぁぁあ・・・なかなか疲れるな」


ゴーレムを倒してきったゴーラは周りを見渡した。そしてゴーレムの出てきた穴を覗く


「暗くて良く見えねぇが、どこからきっ!?」


途端に床が緩み、陥没する


ゴーラは急に足場が無くなったことによる浮遊感に襲われる。


「畜生!この鎧が重すぎたか!!」


ゴーラは体に魔力を滾らせて、身体強化を使う


そしてしばらくの浮遊感の後に地面に激突する


ドゴォォォオオン


着地には成功したものの土煙が大きく舞い上がり、視界を奪う


「ぐぅっ・・足に響くか、しかしここは一体どこだ?」


上からはゴーレムのであろう土塊が落ちてきていて、鎧にぶつかり音が響いている


その音に紛れて、人型のアイアンゴーレムが

背後から襲いかかる。


「ぬぅんっ!」


ゴーラは後ろを振り向きながら遠心力によって加速した篭手で殴り飛ばす。


飛ばされたアイアンゴーレムは頭が大きく凹み、動きを停止する。


「あらぁ?それも見切っちゃうんですかぁ」


途端に女の声が響く


「誰だっ!」


ゴーラは声の聞こえた方へ振り向くも、土煙で見えない。


幼さを含みながらも女性らしさを感じるその声にゴーラは妙に嫌な気配がする。


まるで森蜘蛛に少しずつ体を絡められて、身動きが取れなくなった気分だ


「あたしはぁ、ラアブっていうんですぅ」


耳元から声が聞こえた


ゴーラは腕を反射的に腕を振るも空振った。


「ふふっ、元気なのですねぇ」


反対の耳からも声が聞こえてゴーラは腕を振りかぶるもまた空振り


その事にゴーラは冷や汗をかく


「何処にいやがる!何が目的だ!」


その問いかけに女は答える


「それはぁ貴方を私のモノにすることっ」


その瞬間、濃いピンク色の濃霧が土煙を押し退けて現れる


「ッ!!」


ゴーラは直感的に触れてはいけない事を悟り、

その場を飛び退き後ろに下がるも


「あらぁ?そっちは危ないわよ?」


後ろには巨大なアイアンゴーレムが腕を上げて立ち塞がっていた


「まずッ!!」


ゴーラは腕を上げて防御するも、その腕の振り下ろしをモロに食らい地面に下半身が沈む


「ぐぅぅうううう!」


唸るように声を出し、耐える


「ふふぅ、頑張っちゃってぇ、でも無駄よお?」


もう一体の巨大なアイアンゴーレムが姿を現し、ゴーラを推し潰そうとする拳の上から更に拳を叩きつける


鋼が潰れる音が響く


「あらぁ?やりすぎちゃったかしらぁ?まぁ仕方ないわぁ、次に期待しましょぉ」


土煙が収まり、姿を現した女は興味が薄れたかのようにハートの瞳を背けて立ち去ろうとする


ドゴォォオオオオオン!


突如、とてつもない破壊音と共に2体のアイアンゴーレムの巨体が吹き飛ばされる


「ハハ!痛え!しかしギルディアの一件以上だなぁ!ここまでのやつは!」


そこには傷だらけながらも拳を振り上げて立っているゴーラが居た


「ガハハ!やっと見えたなぉ!嬢ちゃん!」


獰猛に笑いながら睨むゴーラにたじろぐラアブ


その様子を見て拳を構えるゴーラ


それを見てクスリと笑うラアブ


「ふふっ上質ねぇ、良いわそれでこそ私のモノに相応しい!」


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