第57話 謎の襲撃者

ゴーラとケルトの2人は神殿の奥へと走る。

既に装飾品なども少なくなり、光は壁に吊るされた光源のみとなっている。


しかし奥へ進むほど強くなる圧


重圧とも取れるそれは得体の知れないものへの恐怖心を感じる。


「はぁっはぁっゴーラさん、この圧は聖女のものでしょう、まだ先が見えないほど奥があるというのに・・・・」


ケルトは息も絶え絶えながらに言う


「そうだな、まさに次元が違う」


お前のように


ゴーラは心でそう思った


俺が初めてお前を見た時、俺は恐怖していた。

俺を負かしたギルディアが強さの基準になっていたのかもしれない。だからこそ俺はアイラとエグを守るしか無かった。


だからこそ、ケルトを見た時に俺はそんな事考えれなかった。この圧と同じようなもの大賢者からも感じたが、今のケルトからはそんなもの感じない。

きっとライネルとギルディアと俺が束になっても聖女には勝てない。だが、0から可能性が生まれるかは、お前にかかってるんだ


だから消耗させる訳にはいかねぇ


「止まれ、ケルト・・・居るぞ」


その言葉に息を切らしたケルトは杖を構える


すると奥から幾人もの黒装束が現れる


1.2.3.4.5.6....多いな



「てめぇらの相手は俺だ」


バサッ


ゴーラは羽織っていたローブを脱ぎさり、下に着込んでいた鎧を露わにする。


それは機動力など考えていない、重厚な鎧だ。

しかしインナー部分からは魔導具特有の導線が見えており、鎧全てでひとつの魔道具となっている。


「いいか?ケルト、最初に俺が突撃して」


「道を作る・・・ですよね?」


俺はそれを聞くとニヤリと笑う

短い期間だが分かった

こいつは大賢者とは根本的に違う。

それもあるが、エルグを助けるために寝食を惜しんで魔導具を作るこいつを見て俺は気が和らいだ。


ずっと、どこかでこいつは大賢者なんだと思ってた。だが等身大のこいつはそんなことは全然なかった。こいつはケルトだ


「お前の魔導具の力!信じてるぜぇ!!」


ガシャンっ!ガシャンっ!


鎧が音を立てながら荒々しく突撃する

まるで坂道を駆ける馬車の如く加速し

目の前の黒装束を4人ほど吹き飛ばす


ドゴォォォォン!


それは骨肉を砕く音ではなく、岩を砕く様な音であった。ケルトはゴーラが砕いたそれを観察して警戒を飛ばす。


「ゴーラさん!そいつらゴーレムです!」


その瞬間

ゴーレムは後ろからも突然現れ、ケルトに襲いかかろうとするも


「ケルトぉ!任せたぞ!」


ゴーラがその重厚な篭手で殴り払う


バゴンッ!


隙を見てケルトは駆け出していく、砕けたゴーレムの残骸を無視して、神殿の奥へ

ケルトは駆け抜けていく


メリメリメリメリ


不気味な音と共にゴーレムが床から

何体も現れる


「道理でどこにいるか分からねぇはずだ、まさか床の下から現れたんだからな」


ゴーレムの大軍はまるでケルトを追いかけさせないように道を塞いでいる

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