第45話 情報収集

ある喫茶店でジュースを飲みなながらアイラは叫ぶ


「うわーー!もうてんでだめやぁ!」


ぐったりと机に頭をつける


「仕方ないですよ、聖女自体が戦争後に取り立てられた人ですから、ここに来る話は嘘か本当か分からない眉唾物にもなりましょう」


ワイドはアイラを宥めつつ話す


2人は表の情報収集との事で大通りやお店で聖女について聞いて回っていた。

その間は新聞記者と偽り、人気の聖女様の事について調べて他国で広めようとしていると言えば、ほとんどの人が喜びながら教えてくれた


しかし口に出して言う事と言えば

「聖女様は寛大な慈悲により、天より権能を授けられたのです!!それにより数多の悪党を討ち滅ぼし、今では聖女様は聖国において最も重要な人物であり、、、、」


「聖女様はなぁ、昔ぃ魔王軍が攻めてきたん時に、酷く心をいためられて、空から神罰の光を降らしたんじゃよ」


「聖女様は数多の魔族を神威により八つ裂きにして魔王すらも神の名の元に神罰を下したのです!」


などなど、脚色が効きすぎで内容が入ってこないし、雷や神威なんて異空間の能力や神器との関係が全然見えて来ない


「また手詰まりやぁ、うち嫌いやねんな先が見えんこと永遠っとやるん」


アイラはカップの中の氷を揺らし太陽に透かしている


「まぁまぁ、、、何か分かることがあれば良いのですから、聖女様関連を探るに限りますよ」


ぶすっー!


アイラは頬を膨らませて明らかに面倒くさそうにしている。それを見たワイドは困りながらも

冷静に対応している。


「あなた方聖女様に興味があるのですかっ?」


2人は突然声をかけられて同時に振り向くと

そこには初老の神父が立っていた


「あ、はい私たち記者をやっていまして聖女様のお話を探していたのですが、何分偉大な方なので情報が多く、、、」


ワイドは記者モードになり速やかに対応する


「ほぉうっ?それは素晴らしいっ!」


初老の神父は目を輝かせて話す


「いやはや!私は聖女様の大ファンでして!

貴殿らのような信仰に厚く、隣人愛の深いもの達には是非!私の知る聖女様を語り尽くしたいのですよぉっ!」


高速で物事を語り両肩を掴まれたワイドはあまりの勢いに少し冷や汗を流しつつアイラを見ると、アイラもどうしたら良いのか少しあたふたしていた


「ここで語るには時間がかかり迷惑になるやもしれませんっ!ですので!私の孤児院までいらっしゃってくださいっ!」


「こ、孤児院ですか?失礼ですがお名前の方をお伺いしても、、、?」


神父は勢いよく頷きながら答える


「うん!うん!申し遅れました!!私は聖都3司教の1人!雄弁のアツクでごさいます!!」


「し、司教様!?」


司教とは、この国の身分階級で言うと上から三番目に当たり、実質的な内政などは司教が主体で行っている。上にいるのは聖女と教皇のみ


「いやいやっ!そんなにかしこまらずにーっ!私たちは同志です!さぁ!夜が開けるまで語り尽くしましょう!!」


司教はワイドの肩とアイラの肩を掴み、適度に揉みながら案内を行う


「いやぁ!楽しみですなぁ!」


「「ほんとそうですね!あはは〜」」


2人は内心不安なまま流れに逆らわず着いていく


◇◇◇


裏路地にて、フードを被った男、ライネルはそれなりに強い組織を壊滅させて、情報を絞っていた


「おら、知ってること吐いたら楽なれんでー?」


指先を電気に変えて、体にタバコを押し付けるように、高温の指を押し付けて火傷を量産する


「あぎゃぁあ!?ば、ばなじまずヴぅう」


男は絶叫を上げながらもつらつらと語り出す


「ほんほん、で聖女様は?」


「はっはっ、、、じりまぜんぅうヴぎゃぁあ」


情報を知らないと履いた瞬間

ライネルは手全体を雷に変換し押し付けることで確実に命を奪う


「はぁ、ラチがあかんなぁかれこれ6は潰したんやけど、なんも情報が出てこぉへんとはなぁ」


ライネルとギルディアは2人で別れて情報を持ってそうなグループを片っ端から潰していく事にしている


「集まったん言うても、聖女がここ1ヶ月姿見せてないんと、聖女は神殿によく居るってことぐらいかぁ」


ライネルはメモした皮紙を握り、ため息吐く


「結局、聖女とはやり合わなあかんから戦いの情報が欲しいねんなぁ」


その瞬間、背後から幾人かの暴徒が襲いかかる


ジュッ!


ライネルはすぐさま雷に変化し、暴徒を焼き払う


「あらぉそんなことが可能なのですね」


ライネルが声の聞こえた方へ振り向くと

そこにはピンクの髪に、豊かな胸、そして吸い込まれるようなハートの瞳を持つ少女がいた


「なんや?あんたぁ、急に輩けしかけといて余裕こいて」


「いやぁ、だってあなた危険なんですよぉ

その強さに速さも危ないしぃ」


「だからあたしの物にならなぁい?」


その時、ライネルは危険を感じその場を飛び退く


「はァっはァっ」


「あらぁあ?避けちゃったぁ」


なんやこいつ、明らかにあのまんまやったらなんか食らってた、、、、魔法やない、つうことは天啓かぁ!


「珍しいもん持ってるみたいやけど!ワイの速さに勝てるかぁ?!」


ライネルは四肢を雷にして狭い路地の壁を蹴り

翻弄するも


「じゃあ、これでどぉう?」


その女が服を脱ぎ下着のみになる


「どしたんお嬢ちゃん体で媚びようってッ!」


辺り一帯にピンクの色の濃霧が吹き上がる


これまずい!っと判断したライネルは建物を蹴りながら戦線を離脱した


「あらぁ?逃げられちゃったぁ」


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