第43話 今の現状に違和感があるんだが、、?
俺は今、異常な状態にある
1つ目がこの部屋から出れないこと
2つ目が記憶が無い状態のこと
3つ目が違和感を持ってるのに安心していること
まず、この部屋から出れないというのは
出ようとした瞬間、まだ後でもいいと体がそう考えて動いてしまうこと
もう1つが出ようとしたタイミングで聖女が現れること
俺は出れるのに出ようとしないこの状態がおかしいと自覚している。だがこれを聖女には知られてはならない、そう直感で理解している
記憶が無い状態というのがおかしいと言うのも理解している。目が覚めたら記憶喪失で監禁されてるなんて状況で正気でいる自分がおかしいって分かっている
魔力を使い脱出しようにも、あまりにも力が出せない。昔ならもっと力を出せたと自覚があるのに全く力が出せない。というより、力を出そうとすると何かが反発して、霧散しているようだ。内包系がこれなら放出系なんて以ての外
手詰まり、、か
だが、聖女と3食摂って、夜は熟睡できる今の環境も悪くないのでは?と感じてしまう
おかしいと理解しているこの気持ちが薄れているのを感じる
だけどそれが心地よくて、溶けるようで
離したくないと感じてしまう
すると聖女が扉を開けて、昼食を持ってきている
「あらお元気そうですね、体調も万全のようで」
コトッ、、、カタッ、、、コトトトト
聖女がスープとパンを置いてミルクを注ぐ
「さぁ、頂きましょう?」
俺は誘蛾灯に誘われるように椅子に座る
「それでは神に感謝を」
「かみに、、、かんしゃを」
俺は朦朧な意識のまま咀嚼を始める
◇◇◇
食事を終えて聖女は食器を持ち、自室へと戻る
そして食器を置いたあと、乳白色の空間へ足を踏み出す。そして見えるは神像と水面
ここは神殿の最奥、神と交信する神殿の中で最も繋がりの深い場所、ここに立ち入ることは聖女にのみ許されている
聖女は両手を広げる
「嗚呼、嗚呼、!嗚呼!!」
そして両手で己の体を抱きしめる
指の隙間からは黄金の魔力が溢れだし
魔力は次第に身体中から溢れていく
「神に!神に感謝を!」
しゃがみ、神に祈祷を捧げる
溢れ出した魔力は場を漂い、水面に映る
そして厳かに舞う、それは魔力に反映され
儀式となる
「嗚呼、なんと幸せなのでしょう、
なんと満たされているのでしょう
何度望んできたことでしょう」
その声はまるで歌声のように響いている
それは聖歌として
効果を振るう、聖女としての権能と
神器を扱うための見返りとしての
「幾重も後悔し、その度に絶望し、最後に神に願った♪」
その声にはどうしようもないやるせなさを含み
「彼は救い、痕を残し、平穏を願い、友愛を貶し。愛を奪い、哀を残す♪」
その声には悲しみを含み
「ああ神よ♪私の
儀式は終わり静寂が場を包む
「ああ、エルグ、私のエルグ、おぞましいエルグ、恨めしいエルグ」
その目に宿るは執着と憎悪
黄金に輝く瞳は黒く染まり、呪いを宿す
「必ず
悲しみと喜びにより歪んだ顔
流す涙はなんなのか
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