第38話 聖女降臨
結界が崩れ、天蓋は崩れていく
舞い散る破片は空気中の魔力となり
霧散していく
大賢者の腹部からは異質な魔力が流れ出て
その溢れ出た魔力は全てエルグに飲み込まれる
大賢者は血を吐き、エルグは大賢者へ
盾を向ける
ゴーラとアイラはこれから起きることに恐怖し、止めようにも、圧倒的戦闘力からなる
威圧感に動けなかった。
1歩ずつ足音が響く
時間が間延していく
これから起きる未来
予知を使わずとも確定している
その未来は
空から訪れた光により阻まれる
「なぁっ!?」「うそやろ、、、」
アイラとゴーラは驚きに声を漏らす
「控えなさい」
空から1人の女性が、、ベールに身を包んだ
神々しき、まさに女神と称するに値する女性が
君臨する
大賢者は腹部の傷を押えながら、上を見て
言葉を零す
「聖女ッ、、!」
エルグは盾を振りかぶろうとするも
白銀の壁に阻まれる
「ッ!!」
そして盾からは黒い煙が吹きでる
エルグは魔力を込め直し、〈盾斬〉を振るうも
それらは全て白銀の盾に阻まれ
聖女が手をかざすと
乳白色の空間から金色の鎖が射出される
その鎖はエルグを縛り、縛られたエルグは体中から黒い煙を吹き出す
「ガァッ!!」
エルグは抵抗しようとするが、抵抗すればするほど煙は濃くなり、鎧は摩耗していく
「無駄ですよ私はあなたに相性が良いので」
摩耗したエルグは膝をつきその場で意識を失う
聖女はエルグを一覧したあと、大賢者に相対する
「あら、酷いお怪我ですね」
大賢者は忌々しそうに聖女を見る
「ごふっ、、なに、、を゛やっでいる」
大賢者は聖女のベールを指さす
「ごんな、、私事に、、、神器を゛ッ!」
聖女は大賢者を見て少し嘲笑を混じえて言う
「あら、そんなに嗚咽混じりに喋らないでください」
聖女が大賢者の患部に手をかざす
「〈全治〉」
その瞬間、手から銀色の光が溢れ
傷を癒すどころか、血が失われ血色が悪かった顔色を良くする
大賢者は傷を癒されたはずが、嫌悪感丸出しの顔で追求する
「なぜ、神器がある!それはこの平和な世には不要な物だ!!」
あらあら?と口元に手を当てて聖女は言う
「平和にしては貴方ほどの御方が死にかけてましたけどね?」
大賢者は口をつむぐ
「そして、平和とは世の中であって本物ではありません、ええそうですねぇ、、、」
ベールにが揺れて覗いた瞳は、黒く粘り着くようなものであった
「大賢者ではなく、ケルトに聞きます。彼は本物ですか?」
ケルトは腹部をさすり下を向き、言葉をこぼす
「あぁ、本物だ、、、あの力も」
ケルトは苦しそうに言う
「貴方には無理でしたか♪」
ケルト
はその言葉に食いつく
「無理ではなかった!!あれは記憶が起因していた!!だから記憶を封じればあの力は封じれるはずだった!!」
「まぁまぁ、落ち着いてください、貴方ほどの御方がみっともない」
聖女は宥めるように言う
「抑圧から愛など生まれないんですよ、彼が私たちに向けた無償の愛、神話の女神のように私達を守るその心、それを封じてしまっては」
大賢者は親の仇を見るように聖女を見る
「ですからね♪次は私の番ですね♪」
その言葉を最後に糸が切れたように大賢者は倒れる
そして聖女はエルグを鎖ごと乳白色の空間に引きずり込む
「あぁ!私の時なのですね!女神よ!感謝いたします!この時が来ると信じておりました!」
聖歌を歌うように聖女は舞踊り
乳白色の空間から扉を呼び出す
「あぁ、エルグ、今すぐ助けますからねぇ♪」
風に揺らいだベールの内から見えた瞳は変わらず黒い闇を宿している
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