第37話 呪い

「なぁッ、、!?」「ぐぅっ、、!!」

「ヴぅ!」


全員が苦悩から声を零す


大賢者の体から溢れ出る魔力は止まるどころか

勢いを増す。


「ぐぅっ、!お前ら!俺の後ろに!」


ゴーラはエグとアイラを守る

その瞬間

大賢者の一際大きい魔力が場を包む


濃密な黒い魔力がばを包み込む


そして目を開くと、視界全てが黒く濁っている


「これは、結界、、、」


ゴーラは周りを見渡しそう呟く


「しかも、この場の魔力は全て大賢者から放出されてるみたいや、、、」


結界とは2種類存在する

魔力により防御壁を張り、空間を囲むこと

もうひとつは前述したものに加えて、

囲んだ空間内を己の魔力で満たすこと


これは魔界と呼ばれる技であり

最高位魔族のみに使える奥義である


その恩恵とは〈結界の主しか魔法を使えない〉


「これはまずいな、、」


ゴーラは冷や汗をかきながら大賢者を見る


瞳は黒く染まり、体からは黒い魔力が溢れ出し、空間が陽炎のように歪んでいる


そしてライネルに向かっていく


正面にいるライネルは既に戦意を喪失しているのか後退し、今にも逃げ出そうと画策している


「まて、エグはどこに行った?」


「それは親父が抑えて、、?」


アイラは周りを見渡すとエグががエルグだったであろう。焼け焦げた人型に向かっていた


「な!?まずいぞ!?」


「くぅ!?どないしたら!?」


アイラとゴーラが手招きするも見られておらず、

エグは人型にたどり着き、触れる


その瞬間、一際大きな暗黒の魔力が溢れ出す


「「なっ!?」」


◇◇◇


俺は暗闇の中で目を覚ます


俺たち魔王軍は破竹の勢いで人類の生存圏を奪い続ける。俺も数多の連合軍の精鋭を殺し続けて強靭な力を手に入れた。


「ちがう、、」


俺は暗黒の魔力を盾に込めることは、人を殺す事だと理解した。そうするとやけに腑に落ちて

盾は鋭利な刃へと変貌した。刃と盾の両方の性質を兼ね備えたそれを俺は〈黒鍵〉と名付け、今まで以上に連合軍の敵を駆逐した


「ちがう、、」


そのお陰か俺は暗黒騎士団の中でも最強と呼ばれる部隊に配属された。


そういえば何度も戦場で邪魔をしてきた3人組の剣士に深手を負わせたからか、アイツらは俺の前に顔を出さなくなったな


「ちがう、、、うそだ、、、」


あの絶望したような奴らの表情、とくに剣士の顔と言ったら見物だったなァ、、、


「やめろ、うそだ、紛い物だ、、」


「そんな訳ないだろ、これは現実で俺はお前だ」


「そんな、、、、」


◇◇◇


アイラとゴーラはその場で固まる


暗黒の鎧、それは以前見た時と違い

所々に棘があり、暗黒の外套を纏い、

手につけた盾は先端が鋭利になり、何より違うのは纏う魔力の質が違う。


黒い魔力が煙のように吹き出している


大賢者はエルグを見た瞬間、止まる


そして怯えた表情になり一心不乱に魔法を放つ


いつものような魔法の冴えは無く、大量の魔力を込めた一撃を乱発する


エルグはその一撃を盾で切り裂く


「なんだと、、!強化の範囲で

魔法を容易く、、、」


ゴーラは目を見開き、アイラはその異様な姿に言葉を失っている


そしてなにより大賢者が押されている


魔王を倒した生きる伝説の大英雄が

ジリジリと押されている


容赦など感じない


来るなという意思から放たれる魔力の暴力は

更なる暴力に覆される。



そして大賢者に盾を向けて刃を放つ


「〈盾斬〉」


その一撃は大賢者ごと結界を切り裂く。

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