第35話 レジスタンスの合流

ワイドとアイラはレジスタンスのメンバーを待っていると、遠くから岩が砕ける音や悲鳴がが響く


「恐らく、大賢者の罠かと、発振器が破壊されました」


ワイドは少したじろぎながらも答え

アイラは頷きながらも言う


「せやろなぁ、、あそこまで激しいと精密な魔道具なんてダメになるやろう」


途端


後ろから転移による閃光が走る


「おぅ!待たせたか?」


ワイドとアイラは同時に振り返り


「おや、、じ」「ゴーラさ、、ん」


肩に乗るエグを見て硬直する


「な、なにしてんねん!親父!」


アイラは驚き、指さしながらいう


「い、、いやぁ、今日は天気悪ぃなぁ」


ゴーラはよそを向き、誤魔化そうとするも


「誤魔化しても無駄ですよ!?エルグさんが玉のように大切にしてたエグを連れてくるなんてなーに考えてるんですか!?」


ワイドも追従する


アイラは次に戦闘部隊の面々を見る


「ほんでなんでお前らも許してんねん!」


戦闘部隊全員申し訳なさそうな顔をしながら渋々訳を話す


◇◇◇


「いや!!」


「それでもな、あぶないから、、」


「やだ!!!」


エグは転移用の魔法陣から離れず、駄々を捏ねていた。


ゴーラとレジスタンスの精鋭の面々も顔を合わせて、テコでも動かないエグに苦戦する


「ゴーラさん、もう時間もないし連れていくしか」


「そんなことしてもしもの事があったらどうすんだよ、、、」


2人とも互いに困惑する

ゴーラは懐をまさぐり、手元から飴玉を取り出す


「なぁ嬢ちゃん、お菓子あげっから家でパパのことまて、、いだァァァ!?」


ゴーラは手を噛まれて痛みに悶絶する


「なっ!?強いぞ!?」


レジスタンスの精鋭も今まで痛みに悶えることなどほとんどなかったゴーラが9歳程度のエグに手傷を負わされるのは驚かされた


「がぁ!もう!しゃあねぇ!行くぞ!おめぇら!」


「ぇえええ?!?」


全員困惑しながらも、ゴーラにしがみつき

剥がそうとしたら抵抗するエグを見て

渋々納得した


◇◇◇


「って、ええわけないやろがァ!」


アイラはブチ切れるも作戦時間的に余裕はなく

遠くからは悲鳴と轟音が立て続けに響く


「ちっ!しゃあない!ウチと親父はエルグを救出!ワイドも他は罠の対応!ええな?!」


アイラの指示に全員が賛同し、作戦を開始する


「しゃあ行くぞ!」


「うぉー!」


「あんたも着いてくんのか、、、」


◇◇◇


「はぁ、、はぁ、、キリがないな」


ギルディアは現状を見渡す


死屍累々となり、残りは9人ほど

あと詰めとばかりに来た12のアイアンゴーレムにほとんどが壊滅させられた。ギルディアが前に出て粉砕したのは8体。残りの4体は罠に苦戦し、体力が磨り減った今では到底太刀打ち出来ない。


「ぎぃあやぁ!?」


また1人死んだ


そして集中が途切れたからか、魔法罠が発動し、ギルディアの足を凍りつかせる。


そしてその隙を逃すゴーレムでは無く

トドメとばかりに拳で潰そうとする


ギルディアは過去を思い出す。


◇◇◇


両親は5歳の頃に戦争で死んだ。そして孤児としてあぶくれて、盗みの技量もなく路地で死ぬしかない状況だった。魔王軍との戦争はずっと続ていてきたが、本格的に攻撃を始められた事により人類は大きく衰退したからだろう。


そんな時代だから孤児が生まれて、そこらで死のうが関係は無いようなものだ。


そんな私は通りすがった黒いスーツに身を包んだ軍人らしき人に助けを求める


「〈助けて〉」


その言葉に軍人はすぐさま私を抱き上げる

そして理解できないような顔で私を見る

そこで私は意識を失った


気がつけば病院で、様々な検査を受けたあと、

その軍人はやってきた


「君には才能がある、死にたくなければ国のために生きろ」


男はそういい、私は頷いた


それからは時間が億劫になるような日々だった


様々なカリキュラムや訓練を受け、天啓を極めた。私の天啓はオーダーと命名された。


それは指示の内容をある程度強制させるもの


それは自身にも適用され、指示を遵守する意思があればあるほど効果は増加する


私は自分の指示を絶対に信じた。


そして私は教育係として軍の新入りを訓練した

私の願いで、新入りは成人直前の孤児を多く選んだ。何故かって?それは分からないだが後悔はしている。


私の指示を守るように教育した、体罰などは

軍で訓練された尋問術を応用すれば簡単だった。


しかし訓練は完璧と言えない状況で中断される。それは魔王軍が近隣の森に魔物を放ったからだ。魔物は魔族によって飼い慣らされていて、極め付きには

魔王軍幹部 〈種王〉バスバノスクまで現れた


近隣の森を制圧されて、1日も気の抜けない日々が続いた。日に日に減っていく仲間や食料に気をすり減らし続けた。


ある日、3人の冒険者パーティが現れる。


「私たちが四天王を殺します」


そう宣言するその言葉を妄言だと捨てる事が出来ないほど、助けを求めていたのだろう。


しばらくしないうちに魔の森への進軍が計画される。どこから入ろうと変わらず、バスバノスクは森の中心に居る。そこへ私の部隊は共に突撃することになった。一見無謀な作戦だが何をしようと無理な手前、これしか無いのだと頭では理解していた。


戦いは始まった。それは地獄だった。


魔物を殺し、指示を送る。気づけば私の育てた部隊は1人ずつ消えていく。


そして仲間を全て失い、1人なった私は助けられた。


そのパーティの魔術師に


なぜ、私だけという疑問など微塵も無かった。


その日私は初めて涙を流した。

後悔か、恐怖からか、それがなぜかは分からない


だからだろうか、今もその助けられることに慣れないのは


アイアンゴーレムは遠くから放たれた火砲の魔道具により吹き飛ばされ、ドミノ倒しのように3体が纏めて倒れる


「全体!突撃しろ!!」


私を助けた姿が、あの魔術師と重なる


「あぁ、またか」


私は意識せず零れた涙に理由を求めるも

分からなかった


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