第29話 レジスタンスの発起
「作戦としては、ウチらはこの魔道具を解析して、誘拐された場所を探す」
「ほんで、レジスタンスの精鋭達には物資を守ること」
「他のみんなには、物資を維持してこの都市で情報を集めて欲しい」
アイラは淡々と役割を告げていく、レジスタンス達は慣れた様子で指示に従う
「これで以上や!みんな!なるべく早く助けるぞ!!」
その号令に、全員が雄々しく賛同する
◇◇◇
とある高名な魔道具店で
「こりゃあ、無理ですね」
ウチらは聖都一と言われる魔道具店で
この魔道具の解析を依頼していたが
「こんな複雑なの、聖都じゃ始めてみましたよ。しかも強力な結界とかで解析も上手くいかない」
ウチはワイドと目を合わせる
2人は店に謝辞だけ伝えて、店を出た
「「はぁーー」」
アイラとワイドのため息が重なる
「ここでダメなら、この都市に解析出来るほどの魔道具士は居らへんかぁ」
「そうですね、、、僕たちのところの魔道具士でも現場にあった魔力と合わせて調べて転移ってのが分かったぐらいで、これ以上は無理とのことですし」
「「はぁーー、、」」
2人はまた深い溜息を吐く
そうして肩を落とし歩き出すと後ろから
誰かを呼ぶ声が聞こえる
「おーーい、そこの2人ー!!」
先程の魔道具店の店員がワイドとアイラを呼んでいた
「は、はい?」
少し困惑しながらもワイドが反応する
「あんたら、聞いたぜ、ここら辺の名の知れた魔道具店巡ってんだろ?詳しい事情は知らないが、いい所知ってんぜ」
男は「続きは酒場だ」と指をさす
そしてワイドとアイラは目を合わせて、その男について行った
◇◇◇
「まぁ、ややこしい話は捨てて、言っとくと
ある人物にツテがあるかもしれないってだけです」
男は簡潔に言う
「その人物ってのはこんな酒場の喧騒に隠れて話さんといけん人なんか?」
男は少し思案しながら答える
「まぁ、少し説明しないといけなくなるんだが、この都市には表と裏がある。まず表、聖女派と呼ばれる教典に遵守した一派だ。」
そしてもう1つが
「裏の派閥、英雄派と呼ばれる一派で、先の大戦で力を発揮した英雄を筆頭とする実力派だよ」
男は少し溜めてから言い放つ
「この2つの勢力がこの都市の水面下で競い合っている」
ワイドとアイラはこの都市の事情を知り、何か大きな事に巻き込まれているのでは無いかと不安に思う
「そこで、お前たちに会ってもらいたいのは
英雄派の筆頭の男、ライネルと呼ばれる男だ」
「ライネル?」
ワイドかオウム返しのように聞き返す
「そう、彼は先の大戦で国を救った英雄だが、この国は教典を遵守するあまり、彼のような英雄を蔑ろにした。それに憤った彼はこの都市のならず者を束ねて、今では裏に関して言えば絶大な勢力を誇っている」
2人は呆気に取られつつも疑問を提する
「だとしたら、そんな人物に簡単に会えないんとちゃうのか?」
「それがそうとも限らないんだ、どうやらライネルは今、行動を起こそうとしているらしく戦力を集めている、そこで力を発揮出来たら、見返りに協力してもらえるかもしれない」
男はそう言うと懐から1枚の紙を出して、席を立つ
「俺に出来ることはそれまでだ、これはただの親切じゃない、俺はライネルさんに恩があって見所のある人物を推薦している」
その言葉に少し身構える2人
「そしてその紙は招待状だ、魔道具になってて、お前ら以外が持つと消滅する」
「じゃあな」
そう言うと男は酒場の人に紛れて行った
「これは、乗るしかないのか?」
ワイドはアイラを見る
「そうやな、やるしかないみたいやね」
2人は決意を固め代金を払い、店を出る
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