第27話 消えたエルグ


朝、異様に来るのが遅いエルグを見兼ねたアイラがゴーラを迎えに行かせた。予定の時刻はとうに過ぎているのに来ない事に不安を覚えたワイドも共に着いてきた、しかしドアをいくら叩こうと反応の無い部屋に違和感を覚えたゴーラは持ち前の剛力で扉をこじ開けた。


「おいおい、、、こりゃどういう事だ、、?」



そこにはベッドの上のエグと少し動いた椅子

それだけしか無かった。


「なぜ、エルグさんが、、、、」


ワイドはそう言葉を零す

そうその通りだ、エルグは暗黒騎士だ。ならば

なぜ魔族の少女を連れて行かないのか?


暗黒騎士に恨みがあるのか?それならばエグを

殺すことも出来たはずだ。


「ワイド、この事をアイラとレジスタンスの仲間達に伝えてくれ」


俺はそう言伝ると、エグを起こした。

「う、うゆ?パパ?」


俺の顔を見ると周りを見てエルグを探すが

見つからない


「パパ?パパ?」


部屋中を探し回る、俺はその姿を見て少し気の毒に思ったが、早く安全な場所に連れて行かなければ、と思い手をひこうとすると


「メガネ、、?パパ、、?」


エグは1つのメガネを手に持っていた

いや待てよ、エルグはメガネなんて持ってなかったし、エグはもちろん。ならばこのメガネはなんだ?


「お手柄かもしれんぞ、エグ、、!」


俺の気持ちなど知らずに首を傾げるエグは

メガネの匂いを嗅いで「パパ、、?」と

言っていた


俺はエグにフードを被せて通れていく。

レジスタンスが集まっている場所へ。


◇◇◇


宿屋の食堂を貸切、レジスタンスが並んでいる

そして前に立つはワイドとアイラ


「今回集まってもらったのは、我らが盟友、エルグさんが誘拐されたからだ」


ワイドは集会で開口一番に言い放つ

それにエルグのことを知っている人はざわめく、具体的には知らずとも名前走ってる人は周りの様子を見て今回の件への意識を高める。


「順を追って話そう、まず事件の発生は昨夜から今朝の間、それまでは私とアイラさんが宿に居たことを確認している。そして今朝、ゴーラさんが起こしに行った際にはエルグさんだけ居なかった」


今回の事件生の高さをレジスタンスのメンバーは意識したのか、ざわめきが高まっていく。


「それでやけど、ウチは大賢者が犯人であると考えてる」


その言葉にレジスタンスのメンバーは言葉を失う、それは大賢者がそれだけ人徳に優れているからだ、静寂が場を包む


「なんでかと言うと、まずエルグの部屋から魔力を帯びた手鏡があってん。ほんで調べてみると、これは魔道具であり、効果は転移」


その言葉は魔道帝国出身がほとんどである

レジスタンスにとって余りにも大きな証拠であった、転移は魔道具の中でもトップレベルに重要な物。それを使用するのも難しい、裏付けの理由にしては出来すぎている。


「そして、大賢者には1つ不明な点があった、それが何故ウチらを助けたのか?」


「これに関しては、目的がエルグであったというのが濃厚だが、何故エルグを狙ったかは分からへん」


アイラはそこで口をつむぐ


「やけど、大賢者は何かを目的に行動しているのは間違いない、それにウチらの仲間であるエルグが巻き込まれてるんや、なら助けなあかんやろ!」


その言葉にゴーラを筆頭に何人ものレジスタンスが賛同する


「みんなの気持ちはひとつになった!ほんなら作戦会議や!!」




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