第24話 大賢者が元パーティメンバーなんだが!?

「だ、だ、だだだだ、大賢者だとぉ!?」

衛兵の1人が声を上げる

その声から伝播するように周りも騒ぎ出す。


「あの!魔道帝国の技術を300年発展させたというあの!?」


「冒険者時代にはその早すぎる魔法行使能力と多岐に渡る魔法によって四天王を一対一で圧倒したというあの!?」


「一説によれば魔法の神の生まれ代わりで、生まれた時から魔法が使えたと言われるあの!?」



俺はとんでもない設定に、ほんとにこいつがケルトなのか?と疑いたくなってしまう。しかし

遠目から見ても分かってしまう。くせ毛の髪を変にセットした髪型、少し小さめの丸メガネ。

少し大人びてはいるが、【冒険の誓】の魔法使いケルトであることが分かる。大賢者になっていたなんて俺は想像もしてなかったが、言い得て妙だ。


ハルが勇者になったんだ、ならばケルトが大賢者ぐらいにはなっていてもおかしくない。


だとすればエルシアは何をしているのだろうか、、、


少し感傷にひたっていると衛兵のひとりが声を上げる


「に、にせものだぁ!」


それは最初にワイドと喧嘩していた男


「本物の大賢者がなんの用で、何も言わずに聖王国に来るんだ!!」


その言葉に周りは少し疑心暗鬼な目をケルトに向ける。


「確かに急な訪問でしたね、ならばこちらを見て頂ければご理解して頂けるかな?」


そう言いつつケルトが杖をクルッと少しだけ回す。そうすると沢山の来訪者により踏み固められ、雑草が疎らに生えていた地面一面に様々な花が咲きほこる


俺はあの規模の魔法を一瞬で行使する事に驚き、これが魔王を倒したパーティの実力なのかと戦慄していた。

「オハナ、、!」


エグが咲いた花を摘みに行こうと馬車から出て行ってしまった。


「まずッ!」


俺はエグが魔族だとバレれば全員がただじゃ済まないと思い、連れ戻そうとするが一瞬のうちに飛翔魔法で転移したケルトがエグを抱える。


「こらこら、少しだけ静かにしていなさい?」


と言い先程と同じように花束を作り出す

花束を貰ったエグはうぉおぉぉと変な呻き声を上げながら俺の方へ戻ってくる。


「パパ!オハナ!」


俺にそれを渡してくるあたり純粋なんだと再確認させられる。俺がエグを見ている間に、視線を感じているとケルトがこちらを見ていた、その目はどこかドロっとしていて何か粘着質というべきなのか、、、、、


俺が底知れない違和感を抱いていると、衛兵達がケルトに向かって全員頭を下げる


「大賢者様、疑いをかけてしまい申し訳ありません!今回の件、どうにか私の首を持って許して頂けませんか」


そう男は懇願する

大賢者はまた、俺の方を1度見る。そして言葉を発する


「大丈夫ですよ、急にこんなことをした私に非があるのですから」


大賢者はにこやかに笑いながら衛兵たちに対処する。


「それでは皆様!私が宿を取っておりますので一緒に向かいましょう!」


急な出来事ばかりだが、大賢者が何故俺たちを助けたのか、それすらも定かでは無い。心の中ではそう言いながらも全員が所定の位置に戻り、大賢者は先頭の馬車にワイド共に乗る。

それにしても


「一体何が起きてるんだ?」

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