第23話 大賢者と出会ったんだが!?
時間が経ち、遂に俺達が審査の番になった。
全体で8個になる馬車の列を複数人の衛兵が順に検査する。
俺たちの馬車も確認されることになった。
荷物の点検は問題ないように傭兵達が持っていて、俺はエグと一緒に働いてる馬係を装うだけだ
「少しいいかね」
衛兵が急に話しかけてくる。今までは一度も話しかけられて無かったため、少し緊張する。
俺は自分の手が無意識に握られて、それに握り返す力に冷静になる。
「パパ?」
ふと、エグに声をかけられて目を向ける。うん可愛いな!
そんなエグを見て衛兵は、「かわいい、、、」
と声をこぼす。これはチャンスだな
「でしょ!可愛いでしょ!この子母親似でなかなか僕に懐いてくれなかったんですけども、最近はもうべったりでぇ」
俺は惚気けるように話だし、衛兵は急に饒舌になった俺に少し驚きつつも、確認を辞めたようだ。
「問題ありません、では是非楽しんでください」
俺はふぅと胸を撫で下ろすと、前から喧嘩をする声が聞こえる。馬車の窓から身を乗り出し先頭の馬車を見るとワイドが衛兵の中でもリーダーのような人物と言い争っていた
「だからいってるじゃないですか!僕たちは野菜と小麦を売りに来ただけだと!」
衛兵の男は言い返す
「ならば、なぜそんなに女がいるのだ。行商には必要無いだろ」
「それは男だけだと作業が雑なんですよ!だからこういうのには女性の手を借りるべきだと」
「それならば女も雇い、傭兵も雇う金はどこから出てきたんだ」
痛い所を突かれた、俺は縋るような気持ちでワイドを見るが、1ミリも慄いていない
「それは私の私財を投げ打ってここに来ただけです!」
「ほぅ?私財と言ったな?行商のために、商人が私財を投げ売るとは怪しいな、全員に告げる!この場でこいつらを捕らえろ!」
俺達の前にいた衛兵は脇に刺していたショートソードを引き抜き俺たちを威嚇するように持つ
「誤解が晴れれば問題はありません、ですので落ち着いていてください」
だか俺たちは落ち着いてもいられない、探られたら何が出てくるか分からない為だ。まずいな
全体に焦りが走る
しかしそんな静寂を突き破るように一人の男が後方から声を上げる。
「あー、すいません衛兵さん」
深い紺色のローブを被った魔術師に思える男
俺はその声に聞き覚えがあった
急に声をあげた男に警戒をする衛兵達
「な、何者だ!名を名乗れ!」
男は衛兵に囲まれて多種の武具を向けられても
焦りもせずに
「あーそういえば名乗っていませんでしたねぇ」
悠長にしながらも答える
「私の名前はクルト、魔道帝国から参りました。僭越ながらも大賢者とも呼ばれております」
その言葉に全員が身構える。
脱獄して逃げたら大賢者と出会ったんだが
それがパーティメンバーだったんだが!?
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