第19話 間話 パート アイラ 2

昼食を取りに向かうと、エルグがやけにでっぷりした男を呼び止めていた。それを見て何をしとんかと思ったけど、どうやら昼食を奪われそうになっている男を助けるために喧嘩をふっかけたらしい。そして魔力を使わず素の身体能力で男を打倒した。ウチはその姿に一瞬親父を重ねた。そうして拍手喝采が起こったところで、エルグは懲罰房、1番房に連れていかれるらしい。それじゃあ話は出来へんなと思いながらも連れていかれたあいつの顔がやけに面白くて、まるで奇襲食らったゴブリンみたいな顔してたもんやからついつい笑ってしもうたわ。


そんでウチはエルグが助けた男に声をかける、

そしたらその男はびくっ!としながらもひ弱な声返事をしていた。そんで名前を聞くとワイドと言います、、、と弱々しげに答える。ほんでウチは気まぐれで予知を使って未来を見ると、こいつがレジスタンスに入っている未来が見えた、やからウチはこの場でワイドを誘った。

そしたら直ぐにエルグさんの助けになりますかね?と言ってきおった。どうやら恩返しがしたいらしくウチは二つ返事で了承したさ。ほんで脱獄の決行日を明日の昼食後と言った時の顔はなかなかにおもろかったなぁ。


その後懲罰房から出されたエルグに仲間の件を聞くと親父に会ったと言われた、懲罰房は魔力を吸われるのでかなりストレスが溜まるので親父によくボコされんかったなぁと感心した。それで仲間の件も承諾してくれたらしい。作戦の話をして夜が更けてエルグが寝たあとはレジスタンスのメンバーに仲間の看守越しに連絡を取り、明日の昼食後に向けて準備をしていた。それは騒動を起こして看守が混乱しているうちになるべく看守を減らすこと。そのために念入りに予知を使い、未来を見た。様々な状況や場面を見た、


全てのパターンにおいて、ギルディアが関門として立ち塞がる。しかし親父だけなら勝てなかったが、エルグが居るなら勝てる可能性が生まれた。しかしそれは細い糸をちぎれないように伝っていくのと同じ未来。ウチはそれでも全員で脱獄する未来を信じて、いつでも作戦を開始できるようにした。


翌日の朝、やけに嫌な気分に目が覚めて、ウチは目が覚めた。ふと、未来を見ることにした。そこでは昼食前に看守がウチの前に来て言う。「いまから貴様を処刑室にまで連れていく」それを見た瞬間、ウチは嫌な予感が当たったことに慄いた。看守は続ける「貴様らが脱獄を企てているのを知っている。」それを言われて「なぜ、、」と思っていると後ろにエルグが戦っていたでっぷりした男が控えていた。恐らくウチがワイドを仲間にしたのを見て、それに意趣返しにある事ないこと吹聴しただけだろうが、それでも疑惑は疑惑だ。なんとか処刑日を引き伸ばしていたからそのしっぺ返しが来たとも言える。


ウチは焦った、ウチが始めなければ脱獄は出来る未来は無い。ウチは、未来を見て可能性を手繰る、そうして見えたのが「いまから作戦を始めた先にある未来」それならばいくつか可能性が見えた。ウチは巡回中の仲間の看守に声をかけて、作戦を開始する旨を伝える。酷く驚いた様子だが、ウチが未来を見れることから何か問題があったのだと悟る。そこからは素早かった。ウチは予め用意していた看守の服を来て、その場から脱走した。何人かの看守を気絶させてひん剥いた物だ。


そして2番房に向かい、レジスタンスでも戦闘力に長けた者たちを優先して解放する。そこでは看守にバレてしまい、騒ぎになった。レジスタンス以外の囚人が「脱獄だ!」と騒ぎたて、俺が先だ!と騒いでいる。そこでウチは解放した仲間に囚人の脱獄を任せて、親父の房へと向かう。先日の懲罰房送りから戻されて、今は最奥の房に閉じ込められているはずだ。親父の房の前にきて騒動から「何が起こったんだ?」とウチに聞くが、それを無視する。そうして親父を助け出してレジスタンスを集める。想定通り囚人が囮となり、ウチらは脱獄を決行する。そのためにはギルディアを倒さなければならない、それには二つ条件がある、1つが看守をできる限り減らし、ギルディアを単体にすること、それと一体一で戦わないことだ。


ギルディアの天啓はオーダー

指揮をする際にバフをかける能力、

この能力の恐ろしいところは3つ、1つが集団での戦いに大きなアドバンテージを築けること、2つ目が使用人数によるバフの差だ、これが自分にのみ使う時とてつもないバフをかけることが出来る。そして最後に敵単体に対する指揮、いわゆるデバフだ。これは効果時間は短いが強制力が強く、それにより生まれた隙をギルディアは見逃さない。


そのためにウチらは看守を倒すために独房を抜け出し看守棟に向かう。レジスタンスの手練が潜入してなるべく早く看守を大勢戦えなくする。ここで大切なのは殺さないことだ、なるべく人を減らすために戦闘不能にして、時間を稼ぐ。ウチは予知を使い、軒並み居る看守を倒す。

予知による指示にミスはなく、こちらは大きな負傷もなく戦い続ける。途端急に監獄の電灯が切れる。魔力供給が途絶えたことから通信も遮断される。エルグが成し遂げたのか!!と少し喜んだが戦いのさなか差程余裕がなく戦い続ける。そうしてパニックから動きが悪い看守を勢いをましてなぎ倒す。


騒ぎを聞き付けた看守を軒並み倒し、おおよそ半分以上を掃討したが、そこでついにギルディアが現れた。その形相はあまりの怒りからか酷く歪んでみえた。「〈レジスタンスを処せ〉」


その瞬間、統率が取れておらずバラバラだった看守達の動きが変わる。一人一人の力が膨れ上がり、動きも機敏になり、そして何より表情が変わった。顔には敗北の予感から来る恐怖も焦燥もなく、自信と勇気に満ち溢れている。親父と精鋭の何人かがギルディアの足止めのために減ったことも重なり一方的だった戦いが逆転する、ウチらは、少しづつ押され始める。ウチは予知を使って指揮を回すが、ギルディアの指揮によるバフと支持が厚く、決め手に欠ける、あまたの選択肢を見る。そして、予知による未来の中で、一つだけ方法が見えた。それはウチと親父でギルディアの注意を引くこと、予知で攻撃をいなし、親父の俊敏さで逃げ回ること、ウチは指揮を仲間に任せて、親父に駆け寄る。


ウチは予知で隙をみて

すかさず作戦を伝える


「ウチと親父でギルディアの注意を引く!」


それを聞いたレジスタンスの精鋭は下がりゴーラはウチを抱えて看守の波を飛び避けて看守棟の奥に向かう、それを見たギルディアは十数人の看守を連れてうちらを追いかける。

最初でかなり距離を稼ぎ、予知をしながら道を

上手く使い、経路を探る



潜伏する際にウチらを追いかけるギルディアはかなり焦っている。その様子から出口か重要な何かがこちらにあることが分かる。


しかし囲まれてしまい親父が看守を倒して道を作ろうとしたが、ギルディアの射程圏内に入る。「〈私は速い〉」言葉の通り素早く動き、親父とウチらに襲いかかる、ウチもその場で看守を相手取るが、ギルディアがいるだけで勝ち目が見えなかった、ウチは何とか抗うが、その場でギルディアの拳が腹に当たり意識を落とした。



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