第18話 間話 パート アイラ 1
ウチには昔から不思議な力があった。未来が見える力だ。これのおかげでたくさんいい思いしてきた、けれどウチには魔法の才能がなかってん。やから私はたくさんの人に嫌なことをされてきた。学校ではゴミを投げられたり、教本を捨てられたりした。そんな私を見てお父さんは苦しんでた、不器用にウチに謝る姿を見て、ウチは解消できないモヤモヤを抱えていた。そんなある日ウチが買い物に出かけていると、身なりのいい3人がウチを呼び止めた。
「おいお前、ここらで噂の魔なしかぁ?」
チャラついた金髪の男が周りに言いふらすように言う。それを聞いた他のふたりが更に大きな声で追従するように言う
「えぇ!?魔なしだってぇ!?」
「そいつはあぶない!こいつを指導してやらないとですよ!」
下卑た顔をつきをした3人がそう言ってから周りの目付きが変わった。魔なしを露骨に差別して見下す雰囲気、そしてウチは不意に予知を使い、未来を見た。
このままの状況が続けば起こるであろう未来、
近い未来であればあるほど精度が高まる。
そこで見えたのはウチが悲惨な姿で捨てられて親父が、ウチを抱えて泣く姿、ウチは引きつったような悲鳴をあげて途端にその場から逃げ出す。
それを見た男3人は慌ててウチを追いかける
「おい!逃げんな!クソ魔なしがぁ!」
金髪の男が怒声を上げて追いかける。
ウチは何故追いかけられているのか、何故こんな目にあわないと行けないのか理解できないけど、どうにかして親父の居る場所まで走る。
するとウチは石に躓き道端で転んでしまう
「あぅっ!」
ウチは膝を擦りむいたのか、血が流れるのを感じる。
「おいおい!魔なしが転けやがったぞ!」
3人の男は笑いながら私に迫ってくる。
ウチはどうにかして、逃げようと立ち上がろうとしたが、腕を掴まれてしまう。
「うっ、、はなせ!」
ウチはもがくが
金髪の男はそれが煩わしかったのかウチを殴る。
そしてその場に転ばされる。
「よくも、手間かけさせてくれやがっなァ!」
金髪の男がウチの腹に蹴りを入れる。ウチは恐怖と痛みで声を出せず周りを見る。
魔なしだからと気にしない人、見て見ぬ振りする聴衆。
誰か助け、、、、
痛みと恐怖で意識が朦朧とする中、親父の声が聞こえる。
そうしてウチは意識を失った。
気がつけば知り合いのおっちゃんの診療所で治療を受けていた。意思があることに気づいたおっちゃんは、すぐさま人づてに親父を呼んでくれた。飛ぶように来た親父はウチを抱きしめた。ウチも不安がなくなり、涙がこぼれてその日はすごく泣いた。
それから親父は変わった。戦争の本格化により魔なしへの差別や迫害が緩んだところでウチら魔なしのためにレジスタンスを作った。親父の活動を応援するために魔なしに限らず、魔なしの友人を持つ人など沢山の人が集まった。最初は魔なしの保護だけだったが、それでは対処療法で大元を直さなければならないと、親父は言った。それにウチも賛同し、本格的に帝国とやり合うことになった。作戦の成功のためウチが魔道帝国に勝てる予知を沢山見た、予知の見すぎで鼻血が出ることもあったけれども、みんなのためにウチは諦めたくなかった。親父が渋々と、お前に指揮を任せたいと言った時は、ウチも認められたのだと、少し嬉しかった。
そうして1部の商会からの支援によりウチらは
力をつけて行った。ウチも訓練して、予知を使った戦い方も身につけて言った。
そして作戦の決行日は予知の結果、勇者の凱旋パレードの日が吉と出た
その日はたくさんの要職の人が王国に出向く為に警備が手薄になるのが理由であった。
作戦当日
ウチらは魔道要塞の要所に別れてタイミングを待った。正面から親父率いる陽動部隊兼本隊が場をかき乱し、それに乗じて地下に囚われている魔なしの解放や、魔道具の破壊、その混乱が起こっているうちに国の中枢を占拠するのが目的だった。作戦は順調に進ん出るも思われ囚われていた魔なし達を解放した時、本隊が壊滅したとの伝令を受けた。すぐさまウチは助けに行こうとしたが、道を塞ぐ兵隊と先頭に立つギルディアと呼ばれる女。
ウチらは敗北し、新しく建設された魔道監獄に囚われることになった。ウチはその中でも重犯罪者が入る3番房、短気な親父はよく看守に反抗し常駐的に1番房に入れられた。
ウチらは機を待つことにしたが、それでも全員で脱獄できるのは不可能に近く、半数以上が犠牲になる未来しか見えなかった。破滅する未来しか見えない日々に神経がすり減っている中、ある男が投獄された。
名前はエルグという者だ。そいつは重犯罪者のみが投獄される3番房に無実の罪で、しかも気がついたら捕まったと言う変なやつだった。しかし気になるのが裏門の前で寝ていたということだ、そいつは魔の森を抜けてきたということだ、魔の森といえば魔王軍全盛の時代に侵略された場所で、取り返すのは不可能とされ魔王軍が衰退し魔族が減った今でも凶悪な魔物が跋扈し、Bランクの冒険者でも無いとまともに探索すら出来ないという。ウチは一抹の希望をかけて、予知を使った。あまたに分岐して見える可能性の中、見えたのは全員で脱獄した未来。
ウチはつい声を漏らし、エルグに疑問を持たれたが何とか誤魔化し、エルグが昼食に連れていかれると、ウチは潜入してくれた仲間の看守に親父への伝言を頼んだ。
作戦を練る、仲間にも「機を待て」と
レジスタンスで最も信頼されている親父には
仲間を先導してもらわなあかん。
そうしてウチは予知を使うと明日の昼食後が最も成功する可能性が高いと知る。ウチは仲間の看守を使い周りに呼びかけて準備を始めた
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