間章 魔道帝国編
第17話 間話 一方魔道帝国では
魔道帝国 魔道要塞の円卓の間にて
数人の人物がおり、その前に包帯が巻かれて満身創痍のギルディアが片膝ついている
「失態だなぁ!!ギルディア」
腹の肥えた男が声を荒らげていた
「誠に申し訳ありません」
そこではギルディアが謝罪の意を表していた。その様子を見た男はさらに声を荒らげる
「謝罪で済む話かぁ!!監獄が破られたとなれば、魔道具への魔力供給が難しくなり、国力の衰退に繋がるのだぞ!!更には魔族を奪われたようではないか!それでは再建もままならんのだぞ!!」
肥えた男は叱責し、それに対して謝罪を述べるギルディアに腹を立てる。そこを隣の理知的な眼鏡の女が宥める。
「宰相落ち着きなさい、この場は怒りを露わにするのではなく、今後の展望について話す場ですわぁ」
宰相と呼ばれた男はそれでも怒りが収まらないのか、もう1人の男に怒りの矛先を向ける
「大賢者殿よ!!ギルディアを監獄に采配したのは貴殿だったな!!これは貴殿の責任でもあるのだぞ!!」
大賢者と呼ばれる男、またの名を【冒険の誓】の大魔術師ケルトが口を開く
「まず最初に、ギルディアよくやってくれました」
その言葉に膝を着いていたギルディアでさえ目を見開く、そして宰相が疑念と怒りに声を上げる
「それはどういうことかね!!これは貴殿が仕組んでいた事とでも言うのか!!」
大賢者と呼ばれた男は、クスリと笑いながらも
言葉を述べる
「いいえ、私は今回の件に何も関与していません、ただ今回のことに死力を尽くしたギルディアを労っただけです」
その言葉に宰相は怒る
「何を言いますかね!!今回の失態はギルディアの責でしょう!!」
それに大賢者は同意しつつも言う
「ええそうですね、ギルディアの責ではあります。しかしそれだけには限りません」
そう言いながらギルディアは宰相を見る
急に目を向けられた宰相は少し身構える
「それに事の発端はあなたでしょう?」
それを言われた宰相はどういうことかね!?と
完全に怒り心頭である
「宰相さん、貴方は魔道具の発展による国力の発展のために、魔なしを差別する風潮を作りレジスタンスに資金の1部を融資した」
宰相は途端に赤かった顔が真っ青に染る
その様子を見た眼鏡の女がくすくすと笑いながらも見つめている
「将軍!貴様ぁ!」
将軍と呼ばれた女は貼り付けたような柔和な笑みを浮かべながら答える
「あらぁ?私は正しいことをしたまでよぉ?」
状況が変わり明らかに焦る宰相を横目に大賢者が飛翔魔法を使い、兵隊を部屋に呼び出す
「なぁ!?」
宰相のま抜けた声が響く
兵隊は手馴れた手つきで宰相を拘束し、そして
部屋から連れ出す
「何をする!?ワシは魔道帝国の宰相じゃぞ!?こんな横ムッ?!」
大賢者の口止めの魔法により口を塞がれて宰相は連れ出される。状況が理解できないギルディアはその場で顔を上げて大賢者と将軍を見比べている。
「大賢者さん、これでうるさいヤツも消えたわねぇ?」
柔和な笑みで大賢者を見ながら将軍は言う。
大賢者は頷きながら答える
「ええ、これで宰相のポストも空きました、ギルディアにはここに着いてもらう予定ですよ?」
大賢者の言葉にギルディアが驚きながらも否定の言葉を口にする
「失礼ですが、私は敗北者です、そんな私が宰相など力不足です。」
大賢者はいやいやと否定しながら言う
「貴方は先の大戦で陣頭指揮を取り、魔道帝国でも随一の英雄の1人です。そんな貴方を慕う部下も多いのですよ」
将軍も肯定しながら言う
「そうですわぁ、あなたのおかげでレジスタンス以外は収容出来たし、今回の件は私たちと監獄の人たち以外は知らないのよ、特に魔族についてはね」
将軍は含みを入れながらも言う
大賢者はそれを1目見てから、ギルディアに問う
「それよりもあなたをそこまで追い詰めた暗黒騎士について聞かせて頂けますか?」
「はい、その男は姿や溢れる魔力は暗黒騎士のものでしたが、スキル名はまるで聖騎士のようにチグハグな男でした。名前は確か、、、」
そこで大賢者が思い出したように言葉をこぼす
「エルグ、、、」
それを聞いたギルディアが問い返す
「!、、ご存知でしたのか?」
ガチャッ!
大賢者はそう言われておもむろに席を立つ
「あらら?大賢者さん、どこに行きますの?」
将軍が食い止めようとする、しかし大賢者は
一言だけ
「用事が出来ました」
そう言い残し、飛翔魔法で飛び去って行った
「はぁっ、ほんまに掴めん人なんねぇ」
将軍は溜息を零し、ギルディアと2人きりになったことで目を見合わせる
「まぁ仕方ないわね、とりあえず貴方も宰相になるのだから早く怪我を治しなさい」
ギルディアはそう言われると困惑しながらも頷き、部屋を退出する
「はぁ、ほんまに自由な人やねぇ」
将軍の声が静かに響く
◇◇◇
大賢者は自室であるものを探していた
そして物探しの魔法を唱え、部屋の中から金庫を探し出す、それを手馴れた手つきで解錠し中にあった写真を取り出す。
それは【冒険の誓】が全員揃った古びた写真だ
「あぁ、エルグ、エルグ、すまない、すまない」
ケルトは一室で膝をつき後悔の念を呟く
その顔は悲しみと愛憎により酷く歪んでいる
「あぁ、エルグ、僕が、僕が守ってあげるから、、、エルグ、、」
その瞳は漆黒のように黒く、古びた写真の
聖騎士の少年を見つめている。
補足説明
現段階での強さについての言及です
まずメルギァは四天王ですが、直接戦闘能力は高くありません(弱くは無いけれど)、洗脳を持ちいた戦力増強や相手の士気を下げる、潜入捜査などの功績があるからこそ四天王なのです。俗に言う指揮官タイプです。ギルディアに関しても同じで、彼女は戦力能力は高いですが、最も真価を発揮するのは戦争です。彼女が指揮するだけで全体に微力ながらもバフがかかります。それにより全体の能力を2割以上上げれるのです。英雄と言えども直接戦闘力が高い英雄と指揮や参謀などの作戦立案能力や指揮能力に優れた英雄、またその両方の性質を兼ねた英雄がある訳です。
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